ピラミッド型の謎/赤磐・熊山山頂付近

■60人、石積み遺跡見学

 全国的にも珍しいとされる、赤磐市の石積み遺跡「熊山遺跡」の見学会が28日、開かれた。参加した約60人は説明を聞きながら、ナゾに満ちた遺跡に見入っていた。

 同市奥吉原の熊山山頂付近にある同遺跡は、国の史跡に指定されている。高さ約3・5メートルで、石を階段状に3段積み重ねたピラミッド型。誰がいつ、どのような目的で造ったのかなど、詳しいことは不明といい、周辺の山中には30~40の石積み跡も残されている。様々な説があるが、現在は出土品などから奈良時代の仏塔という説が有力という。

 見学会は「熊山遺跡群調査・研究会」(出宮徳尚会長)が開いた。参加した岡山市東区の中西厚さん(75)は「石で造られているので古墳とは違うと思う。エジプトのピラミッドを思わせ、不思議です」。説明をした同会理事佐藤光範さん(79)は「ぜひ現地に来て、古代に思いをはせてほしい」と話していた。

 同会は会員も募集している。問い合わせなどは事務局(086・995・0245)へ。(保田達哉)

棚田保全の国際シンポ…神戸学院大ポーアイキャンパス

「天国への階段」とも呼ばれるフィリピン・ルソン島北部の棚田群の保全活動をテーマにした国際シンポジウム「フィリピン イフガオの棚田からのメッセージ~平和と自然をまもる」が28日午後1時半から、神戸市中央区の神戸学院大ポートアイランドキャンパスで開かれる。

 神戸ポートアイランドにキャンパスがある神戸学院大、神戸女子大、兵庫医療大、神戸女子短大による「ポーアイ4大学連携推進センター」のポーアイ安全・安心ステーションが主催。

 パネリストに、現地のイフガオ大学長や、国立フィリピン大教授を招き、2000年前から代々受け継がれてきた人々の暮らしを通し、平和や自然を見つめ直す。会場では、現地を昨年2月に訪れた神戸学院大防災・社会貢献ユニットの学生たちが撮影した棚田群=写真=も展示される。

 参加無料。定員320人。通訳付き。申し込み、問い合わせは同ステーション(078・974・4057)へ。

(2009年11月27日 読売新聞)

歴史受け継ぐ管弦楽部 【家と生きる】

◆山口市「旧制山口高校講堂」
 小雨の降る放課後。少し色あせ、どこか懐かしい水色の木造の建物に管弦楽部の生徒が集い、思い思いの音を奏で始めた。1922年に建てられ、文化庁の登録有形文化財にも指定されている旧制山口高校講堂(記念館)。江上嘉昭教頭は「歴史と伝統を感じ、自分もその中の一員であると生徒が感じることができる場所」と語る。

  近代日本を引っ張るエリート育成という使命を負っていた旧制高校。かつての生徒たちは講堂を「国を支える幹になることを誓う」との意味を込め「誓幹堂」と呼び、ここから社会へと巣立っていった。

  円柱と角柱で支えられ、安定感のある正面玄関や、左右対称に塔のようにせり出した屋根の外観には独特の風格がある。内装も、窓や欄干に施された幾何学模様の装飾など、随所に工夫を凝らしたつくりに。各地の旧制高校の建物に共通する様式だったという。

  戦後の学制改革後、しばらくは新制山口高校の卒業式の会場などに使われていたが、75年以降はもっぱら管弦楽部の練習場に。クラリネットを担当する部長の西村朋恵さん(17)は「長い間、色々な先輩がこの場所で演奏をし、自分たちも同じように楽器を吹いている。記念館と同じように自分たちが歴史を作っているといううれしさがある。管弦楽部だけが、ここで練習できるのも自慢です」

  部員たちは「20人以上は上がってはいけない」というルールがある2階部分も含め、階段や入り口、正面ステージなど好きな場所に散らばり、一心に楽譜に向かう。クラリネット、オーボエ、サクソフォン……。様々な音を講堂が受け止め、響かせる。

  「サウンドづくりには最高の場所。卒業生も含め、教室よりここで過ごす方が多いという生徒がいっぱいいる」と、顧問の縄田正規教諭は言う。
(青山直篤)

□■ 旧制山口高校講堂(記念館)■□
  旧制山口高は1919年に創設。22年に完成した講堂は木造2階建て、延べ面積約370平方メートルで、高さが約13メートルある。山口市中心部にある山口高校の正門を入り、左側に立つ。

ひと:石原裕子さん 「書の甲子園」で優勝した書道部顧問

「書の甲子園」として親しまれる第18回国際高校生選抜書展(毎日新聞社、毎日書道会主催)に、高校では珍しい平安朝のかなを基本とした作品を出品し、初の全国優勝に導いた。「例年以上にみんなが努力した結果だと思います」。部員33人と喜びを分かち合った。

 大学卒業まで漢字を学んだが、展覧会でかな作品を見て、「日本独自の文化で、細い線にも凜(りん)とした力強さがある」とひかれた。「若い世代に伝えたい」と埼玉県立松山女子高(東松山市)に赴任した00年、部員に勧めて全員で取り組むように。3年目に北関東地区で優勝、昨年は全国準優勝と階段を上ってきた。

 「何が課題かを自ら感じ、考えることが大切」。批評を求める生徒には、まず自分の意見を述べさせ、ほめて、やる気を引き出す。同時に人としてのマナーには厳しい。「細かな心遣いができない人に、線の太さなど微妙な加減は分からない。書は人間性の表れです」。書道への一般の関心を広げ、部員の協調性や連帯感を高めようと、音楽に合わせて書き、ダンスをする「書道パフォーマンス」も行う。

 来年の目標は、生徒たちが品格のある、今年以上の作品を書くこと。それには指導する自分も成長しなければ、と帰宅後も作品づくりや研究に取り組む。息抜きは愛車の運転だが、「運転中も生徒たちの顔が浮かんできます」。自分を信頼してくれ、書に地道に取り組む生徒たちに活力をもらう。【鈴木賢司】

 【略歴】石原裕子(いしはら・ひろこ)さん 「書の甲子園」で優勝した松山女子高書道部顧問。08年度、流派や所属団体を超え優れた書家を選ぶ「埼玉書道三十人展」に選出された。埼玉県熊谷市在住。49歳。

毎日新聞 2009年11月21日 0時00分

“古城や馬車” 冬の夜空彩る 太田でイルミネーション

 太田市上強戸町の北部運動公園で十八日夜、百万個の発光ダイオード(LED)を使った「おおたイルミネーション2009」の点灯式が行われ、古城や馬車をかたどった電飾や赤く彩られた階段などが夜空に浮かび上がった。

 式後にはウエディングセレモニーがあり、太田市内で勤務する新郎の平井辰徳さんと新婦の磯野真理子さんが、大勢の市民が見守る中、結婚式を挙げた。

 この公園(十九ヘクタール)の電飾は、市や商工関係者らを中心に昨年から実施。市は、公園が春のシバザクラなど四季折々の草花や冬のイルミネーションで新しい観光名所となることを期待している。

 来年一月三十一日まで毎日午後五時から同十時まで点灯する。入園無料。 (粕川康弘)

女性警官宅侵入の巡査長逮捕=「好意持ち、知りたくて」-千葉県警

女性警官宅に侵入したなどとして、千葉県警船橋東署は19日までに、住居侵入と公務執行妨害の疑いで、県警千葉東署地域課の巡査長苅田大蔵容疑者(37)=千葉市若葉区千城台西=を現行犯逮捕した。船橋東署によると、「好意を持ち女性のことを知りたかった」などと供述、容疑を認めているという。
 逮捕容疑は18日夜、同県船橋市の女性警官(28)の自宅マンションに侵入し、通報を受けて駆け付けた男性巡査(21)にスプレーのようのものを噴きかけるなどした疑い。
 船橋東署によると、女性はマンション最上階の4階に居住。同日午後9時55分ごろに帰宅した際、自宅の様子がおかしいことに気付き、部屋に入らず近所の交番に通報した。同署員2人が駆け付けたため、苅田容疑者はベランダから非常階段を伝って逃走。路上で取り押さえられた際、スプレーのようなものを噴きかけたという。(2009/11/19-08:56)

マージャン店火災受け、立ち入り検査

17日未明に浜松市でマージャン店が全焼して客4人が亡くなった火災を受け、池田市消防本部は同日、市内に8店舗あるマージャン店への立ち入り検査を実施した。うち4店舗が消防訓練を行っていなかったことが判明し、訓練の徹底を求めた。

 浜松市の火災は放火された疑いがあるため、この日の検査では放火対策を主に聞き取った。防炎加工したじゅうたんやカーテンを使用しているか▽たばこの吸い殻の処理は適切か▽階段に物を置いていないか――などを一つ一つ確認。市内のマージャン店の広さではスプリンクラーの設置義務がないため、唯一の消火設備となる消火器の管理状況を特に念入りに調べた。

盗撮:女子高生を盗撮 容疑の警官逮捕--警視庁処分

警視庁南大沢署警務課の男性巡査長(36)が女子高校生のスカート内をカメラ付き携帯電話で盗撮したとして、東京都迷惑防止条例違反容疑で現行犯逮捕されていたことが分かった。警視庁は16日、減給処分とし、巡査長は辞職した。

 逮捕容疑は、9月30日午後8時ごろ、東京都小金井市のJR中央線武蔵小金井駅の階段で、高校2年の女子生徒(17)のスカート内を動画撮影したとしている。示談が成立し、処分保留で釈放されている。同庁警務部によると、容疑を認め、「昨年10月から同じ駅で月に1~2回盗撮した」と供述しているという。

 一方、警視庁は16日、出会い系サイトで知り合った女子高生(16)にみだらな行為をしたとして、埼玉県青少年健全育成条例違反で起訴された第2機動隊の巡査、鈴木浩之被告(25)を懲戒免職にした。【川辺康広】

「根戸城跡」発 手賀沼トラスト

我孫子市の西端の手賀沼を見下ろす台地に、緑豊かな森がある。中世の山城跡「根戸城跡」だ。この史跡のふもとの農地で7日、小学生からシニア世代まで約30人がソバの脱穀をした。

 「自然と共生する地域づくり」を目指す市民団体「手賀沼トラスト」が、休耕地を活用して取り組む農業体験の一つだ。無農薬有機栽培でソバを育てソバ打ちし、味わう――。活動は今年で11年目になる。

 先月下旬に刈り取り、「稲架(は・さ)」にかけて天日干ししたソバを、昔ながらの足踏み脱穀機や千歯こきなどで脱穀して、「唐箕(とう・み)」と呼ばれる農機具でよりわけた。

 「穂の引っ張り方が難しい」。初めて千歯こきに挑戦したという一色菜穂さん(10)は、こう言いながら奮闘した。菜穂さんの父親で、我孫子市の会社員、一色有喜さん(46)は「色んな世代の人と一緒に汗を流し、季節ごとに様々なことができる。皆さん、子どもに温かく包容力がある」と話す。

 正午すぎ、「ご苦労様、きれいなすばらしい実がとれました」。遠藤織太郎代表(76)が皆をねぎらった。今年の収量は102キロ。茨城県内で製粉してもらい、28日の「そば祭り」では100人ほどが新ソバに舌鼓を打つ。

 手賀沼トラストは、根戸城跡主要部分の地権者で、農業の傍ら画家としても活躍した前代表の故・日暮朝納さんらの呼びかけで生まれた。会員は約130人。地元農業者もいるが、多くは会社員や定年退職者、主婦ら。我孫子市のほか柏、鎌ケ谷、船橋の各市や都内からもやってくる。小春日和の水曜日。根戸城跡の森で、副代表の原田泰夫さん(48)らが、風雨で落ちた枝を拾ったり、下草を刈ったり。定例の作業に精を出した。

 「以前はうっそうとしていた」という城跡は、杉や竹を間伐するなど手入れを重ね、明るい日差しが地面に降り注ぐようになった。木々の間からは、会員らが米やソバ、野菜を育てる田畑、その先に手賀沼が一望できる。

 城跡と道路を挟み、東側の里山の斜面では、温州みかんの収穫も行われた。3年前から植え始めたミカンの苗木は、丸井グループの労働組合が運営する「マルイグループ福祉会」から贈られた。全国各地でボランティア活動に取り組む同会は、トラスト発足時から毎年春に環境ボランティア30~40人を派遣。城跡へ上る階段の整備などに協力し、資材や苗木も寄贈している。

 今年5月、手賀沼トラストの10周年の記念誌「沼のほとり」が刊行された。堆肥(たい・ひ)作りから始める「農教室」や、井戸を掘って冬も水を張る田んぼでの生き物調査、沼のほとりを彩るヒマワリ畑や花ハス田づくり、炭焼き、竹工芸……。さまざまな活動をより多くの人に知ってもらおうと、会員らが手分けして執筆した。その表紙を飾るのは、昨年8月に急逝した日暮さんの描いた手賀沼の風景画だ。

 担い手の柱をなくした日暮さんの農地の維持を支えようと会員有志は任意団体「手賀沼ファーム」を結成。日暮さんの芋掘り園を引き継ぎ、ベニアズマを植え付けた。

 「とれたー」「でっかいなあ」。この秋も、都内の幼稚園児らが連日、収穫体験に訪れ、畑に歓声を響かせた。

 遠藤代表はこう言う。「我孫子の原風景を守っていくには、地域力が必要。手賀沼ファームは、市民が農業に参入する一つのチャレンジだ」(永井啓子)

ユニバーサルデザインって優しい 浜松・砂丘小4年生が文化芸大で学ぶ

浜松市南区白羽町の砂丘小学校の4年生約50人が13日、同市中区中央の静岡文化芸術大を訪れ、障害の有無にかかわらず利用できるユニバーサルデザイン(UD)について学んだ。

 今回の訪問は同小の総合的な学習の一環。3年ほど前から文化芸大を訪問し、教職課程の学生たちから学内にあるUDについて学んでいる。

 児童たちは車いすに試乗したり、階段の手すりに張られた点字シールに触れたりして、UDを楽しみながら学んでいた。

 久野玲奈さん(10)は「思ったより車いすがふかふかだった。ユニバーサルデザインを勉強できて楽しかった」と笑顔。講師役を務めた国際文化学科1年の岩崎航さん(18)は「UD製品に対する子どもたちの知識がとても深かった」と驚いていた。

(出来田敬司)