台湾人留学生が支援の夜回り

佛教大(京都市北区)に通う交換留学生の台湾人男女がこのほど、市内の路上生活者を支援する夜回り活動を始めた。「日本は豊かな国のはずなのに、どうしてこんな事態になるのか」。戸惑いながら、市民団体と行動を共にし、週に1度、夜の京都駅周辺を巡って毛布を渡したり飲み物を配っている。

 楊至弘さん(21)と呉湘テイさん(22)。2人は台湾・花蓮県花蓮市にある慈濟大の学生。交換留学生制度で、楊さんは昨年3月から、呉さんは同9月から佛教大で学ぶ。

 慈濟大は、台湾のボランティア団体「慈濟基金會」が運営しており、福祉や医療、教育のボランティア活動を推奨している。楊さんらも一昨年5月、中国で起きた四川大地震で、現地の子どものメンタルケアや教育支援などを行ってきた。

 京都での夜回り活動を始めたのは、楊さんが野外生活をする老婦人と出会ったのがきっかけ。雨が降る中、地下鉄へ下りる階段近くで寝ていたという。台湾では路上生活者は見ることがないといい、日本社会の格差を見る思いだった。同じ大学からの留学生の呉さんを誘い、昨年12月から夜回りを始めた。

 現在は毎週木曜、市民団体「きょうと夜まわりの会」とともに京都駅周辺の地下道や路上を巡る。野宿する人に持ち運びに便利な携帯型毛布を渡したり、水筒に入れてきた温かい茶を手渡す。

 楊さんは2月に日本を離れる。「活動を引き継いでくれる仲間がいれば」という。呉さんは「自分たちが始めたことを続けたい」と話す。

 31日午後1~5時、京都タワーと四条河原町周辺で、ハイチ大地震の被災者への募金活動を行う予定にしている。

秋田市役所で異臭騒ぎ

28日午前10時40分ごろ、秋田市山王1丁目の秋田市役所の職員から、「異臭がする液体が入ったペットボトルが置かれていた」と秋田市消防本部に通報があった。秋田消防署によると、発見現場から0・5~2・5ppmの硫化水素とみられるガスが検出された。

 秋田中央署によると、ペットボトルが見つかったのは、市役所本館と福祉棟をつなぐ渡り廊下東側にある階段付近。庁舎への出入り口がある。同日午前10時10分ごろ、清掃員の男性(59)が、下水が腐ったような異臭に気付き、発見した。

 ペットボトルは、280ミリリットル入りの大きさで、中にはオレンジ色をしたアルカリ性の液体約10ミリリットルが入っていた。ふたが開いて横になった状態で、ふたは近くに落ちていた。

 現場には通報を受けた消防署員や警察官が駆けつけ、一時、立ち入り規制が行われた。

 同市管財課によると、現場付近にいた市役所の男性職員(38)が体調不良を訴え、市内の病院を受診した。

 同署は異臭がする液体の成分鑑定や、不審者の捜査を進めている。今のところ、不審者などの目撃情報は寄せられていないという。

川崎変装して「目安箱」購入 帽子、マスクなど着用…「気付かれなかった」

手づくりボックスにどしどしご意見を-。新選手会長の川崎宗則内野手(28)が27日、「ファーム目安箱」を購入したことを明かした。宮崎自主トレを打ち上げた翌日の26日、自ら福岡市内の某有名雑貨店へ。「この間、話したアンケートボックスを買ってきました。自分で組み立てるやつ」

 「この間」とは自主トレを公開した11日。報道陣とのやりとりで、阪神赤星(昨季限りで引退)が2軍球場に設置した意見箱のようなアイデアに話題が及んだ。そこでさっそくの購入だ。量販店で不必要に目立っては…と目立たない格好で外出。帽子、マスクなどを着用したものとみられるが「全然、気付かれなかった」という。

 この日ランニングや階段ダッシュなど約3時間の練習を行った川崎は、宮崎で合同練習した新加入の李に「思ったより体がシュッと絞れていた。打撃も守備も柔らかい」と刺激を受けた様子。グラウンド内外で充実を図るシーズンが間もなく始まる。

=2010/01/28付 西日本スポーツ=

選挙:津市長選 候補者の横顔 /三重

津市長選には、共産党県中部地区副委員長で新人の岡野恵美氏(57)=共産=と、再選を目指す現職の松田直久氏(55)=無所属=が立候補し、31日の投票に向けて激しい選挙戦を展開している。候補者2人の人柄や信条、政治への思いなどを紹介する。(届け出順)

 ◇「一生懸命で涙もろい」--岡野恵美氏 57 共新
 保健師として津医療生活協同組合で勤務していた時、貧困と病気に悩まされる人たちと接する中で、「政治を変えないといけない」と考えるようになった。83年から旧津市で市議を4期16年務めた。00~05年に3回、衆院選に出馬するなど、豊富な経験が評価され、共産党の公認候補として擁立された。

 「今の市政は生活に冷たい」と批判する。中学生以下の医療費無料化や高齢者への無料バス券配布などの生活支援策を充実させ、「市民に寄り添う市政に変える」と意気込んでいる。「合併後、地域間格差が生まれ、市職員も人事交流の結果、地域のことが分かる人がいなくなった」とも主張し、当選したら各旧市町村の総合支所に予算と権限を与えるつもりだ。

 趣味は特に無いというが、岩手県の旧・沢内村で医療費無料化に取り組んだ村長を描いた映画「いのちの山河--日本の青空2」を見て、気に入ったという。「長所は一生懸命。短所は忘れっぽい。それと、涙もろい。うれしいことや良い話を聞くと泣けてくる」と自己分析する。【岡大介】

 ◇「人の意見聞く柔軟性」--松田直久氏 55 無現(1)
 熊本県からふるさとの津市に戻って友人と中華料理屋で働いていた時、北川正恭前知事と出会って秘書となり、政治の世界に入った。県議を2期7年務め、06年、津市長に就任した。

 10市町村合併後、最初の市長。「イベントなどを通して、津市民としての一体感を醸成することができた」と、1期目の4年間を評価する。その一方で「10の市町村には、それぞれの思いや文化がある。合併でそれが切り捨てられたと感じる地域があったのも事実」と、合併後の市政運営の難しさを語った。

 自分の特徴を「人の意見を聞く。柔軟性はある」と説明する。新・津市をまとめようと「移動市長室」と称して市内各地に出向いた。住民と直接話し、合併後の市に対する思いなどを聞いてきたという。

 学生時代は登山に没頭したが、時間がない今は映画鑑賞が息抜き。邦画が好きで、黒沢明監督の「生きる」と「赤ひげ」は何度も見た。「ハードな仕事だから」と、健康維持のため、市役所では階段で4階の市長室まで上っているという。【大野友嘉子】

〔三重版〕

新薬師寺旧境内シンポで仮説様々

●「金堂内に仏像37体」「正面に幅50メートル階段」

 8世紀の大規模な金堂跡や乾漆像の破片が出土した奈良教育大(奈良市)構内の新薬師寺旧境内について、専門家が意見を交わすシンポジウム「よみがえる新薬師寺旧境内」が24日、同大で開かれた。金堂内には少なくとも37体の仏像が安置されていた可能性や、金堂正面に幅約50メートルもの階段がついていたとの説が明らかにされた。

 奈良教育大の山岸公基・准教授(美術史)は「新薬師寺金堂安置の群像と薬師信仰」と題して講演。「続日本紀」や「正倉院文書」の記述から、金堂内には7体の薬師如来像、それぞれの脇に日光・月光両菩薩(ぼ・さつ)像計14体が安置されていたと紹介。さらに十二神将像と四天王像があり、少なくとも計37体の仏像があったのでは、との考えを示した。薬師如来は坐像(ざぞう)で高さ約210センチ、両菩薩は約280センチとみられるという。

 正倉院文書から菩薩像は粘土で作る塑像とみられているが、調査で見つかった乾漆像片から「薬師如来は乾漆像だったのだろう。小さな断片だが、研究に新たな光を当てる発見だ」と述べた。

 奈良文化財研究所の清水重敦・景観研究室長(建築史)は、発掘調査で分かった柱跡などから金堂の復元案を示した。金堂の建物は幅約60メートル、奥行き約16メートル、高さ約13・2メートルと想定し、「横幅が広く、屋根が低い、非常に異例な建物だった」と話した。

 金堂正面には幅50・8メートルの階段が設けられたとし、安置された仏像と関係する儀式のために作られたのではないか、との考えを示した。

川口組欧州覇者として五輪へ/フィギュア

<フィギュアスケート:欧州選手権>◇2日目◇20日◇エストニア・タリン

 昨年初めにロシア国籍を取得した川口悠子(28)が、アレクサンドル・スミルノフ(25)と組んだペアで、初優勝を果たした。ショートプログラム(SP)で2位につけ、フリーで1位となり、合計213・15点で逆転。フリーの139・23点は世界最高、合計得点も世界歴代2位というハイスコアで欧州覇者の座に就いた。バンクーバー五輪に金メダル候補として乗り込む。

 ロシア語で受けた場内インタビューの最後に「スパシーボ」と感謝した後、日本語で「ありがとう」と付け加えた。1891年から始まった欧州選手権は、世界選手権より長い歴史を持つ伝統の大会。日本出身選手で初のチャンピオンに輝いた川口は「初めての人になったのはうれしい。五輪でも初めての人になりたい」と間近に迫ったバンクーバー五輪に目を向けた。

 ロシアの隣国エストニアの首都タリン。客席では数多くのロシア国旗が振られ、熱い声援を送られた。「観客がエネルギーをくれた。スタンドと一体になれた」。息の合った演技を終え、取材エリアで質問に答えている最中にライバルの得点が表示された。逆転優勝が分かると、思わずスミルノフに飛び付いた。

 ジュニア時代はシングルの有望選手。98年長野五輪を見てペアにあこがれ、ロシア人の名コーチ、モスクビナさんの弟子になったが、道のりは長かった。パートナーに恵まれず、4年前にようやくスミルノフとめぐり合った。「悠子はすごい努力家で、こんなパートナーはなかなかいない」と相手が舌を巻く練習熱心さで、実力をつけた。国際スケート連盟(ISU)が主催する選手権大会は、異なる国籍の選手によるペアの出場を認めており、一昨年から3位、2位と階段を上がってきた。

 旧ソ連時代の64年インスブルック大会から、ロシア勢は五輪のペアで12連覇中だ。表彰台の真ん中で聞いたロシア国歌を「次は聞くだけでなく、歌えるように覚えておかないと」。伝統国の代表という重責を担う28歳の顔に自覚が浮かんだ。

鉄道用避難はしごが好調 神戸の2社が連携、開発

神戸市内の2社と兵庫県立工業技術センターが連携し、鉄道車両用の避難はしごを開発、国内外で採用が広がっている。災害や事故で急停止した場合に、車外に脱出するシーンを想定し、手すり付きの階段状に設計。安全性や利便性が評価され、2005年以来、台湾や国内の車両向けに約2700台を納めた。関係者は「阪神・淡路大震災を経験した神戸から安全を発信できればうれしい」と話している。

 鉄道車両の設計を手掛ける「テクノエース」(神戸市兵庫区)と、建築用はしごなどのメーカー「特殊梯子製作所」(同長田区)。

 両社によると、鉄道車両には避難はしごが備えられていない場合が多い。あっても後ろ向きに1人ずつしか降りられないものや、滑り台タイプが一般的という。

 テクノ社は、台湾新幹線を製造した川崎重工業(同中央区)の依頼を受け、02年ごろから使いやすい製品の開発に着手。04年に伸縮はしごの製造技術を持つ特殊梯子に声を掛け、同センターの助言を得ながら1年半ほどで完成させた。

 普段は折りたたんであるが、伸ばすと階段状になる。どこで停車しても使えるよう、車両の出入り口などから下げて長さや角度を調節できる仕組みにした。

 材料には主にアルミ合金を使い、重さを抑えながら一定の強度を確保。手すりを備え、約3分で100人程度が降りられるという。

 台湾新幹線のほか、国内約20社の新幹線や在来線用などに納入。鉄道以外にも転用を検討する動きがあり、ニーズはさらに増えそうという。

 両社は「神戸にはものづくりの高い技術があり、力を合わせればできることがあると示せたのでは。積極的に売り込みたい」と意気込んでいる。

(佐伯竜一)

讃岐国府跡の所在地に迫る/発掘資料パネル展示

 「讃岐国府跡調査」の資料や調査経過を紹介するパネル展示が香川県坂出市府中町の県埋蔵文化財センターで開かれている。同センターが昨年から行っている調査で、市民ボランティアらと地形や地名などを調べ、発掘調査地の推定に至った経緯を見ることができる。5月7日まで。

 国府は奈良時代などにおける県庁のような機関。県内では所在地が判明しておらず、同センターが昨年6月から公募ボランティア「讃岐国府ミステリーハンター」と一緒に調査を続けている。現在は同町内で跡地を推定し、2月上旬までの予定で発掘作業中。

 展示しているのは、地名や地形の調査方法、調査結果の分析などを記したパネル、過去に出土した土器など約20点。パネルでは、発掘中の区域が「緩やかな斜面に階段状に造成され、国府関連施設の広がりを示す可能性がある」などと、分析結果を紹介している。

 観覧無料。開館は午前9時~午後5時。土日・祝日が休館。2月6、27の両日は国府跡に関連した考古学講座を開く。問い合わせは同センター〈0877(48)2191〉。

ロボット走れ 街の足

人が乗り込む搭乗型のロボットを、つくばの街で走らせたい――。公道での走行実験を可能にする「特区」の指定を、つくば市が国に申請中だ。2月中旬までに正式決定される見込みだが、市によると、国からは前向きな感触を得ているという。認可されれば全国の自治体で初めてとなる。(今直也)

 立ったまま乗り、体重を移動させるだけで自由自在に動き回ったり、階段を上ったりできるタイプや、座って乗る車いすタイプなど、搭乗型移動ロボットにはさまざまな種類がある。環境への負荷が少なく、近距離の移動としては自動車に代わる交通手段として期待されている。

 つくば市の産業技術総合研究所は2008年秋、空気のクッションを利用して乗り心地を良くし、障害物に近づくと自動的に止まるセンサーを組み込んだロボットを開発、「マイクロモビリティ」と名付けた。立ち乗り型の電動二輪車「セグウェイ」を販売するセグウェイジャパンや、トヨタ、ホンダなど自動車メーカーも開発を進めている。

 同市は昨年11月、国が募集する構造改革特区に応募、「搭乗型移動ロボット(モビリティロボット)の公道走行実証実験特区」を提案した。暮れには、「2010年度中の結論を目指す」という回答を、国から得ているという。

 搭乗型のロボットは、車両としてはまだ認められておらず、道路交通法などの規制で公道を走行することができない。特区と認定されて初めて、公道での実証実験が可能となる。

 ロボット関係の特区としては、搭乗型ではないが、03年に福岡県と福岡市、北九州市が国の「ロボット開発・実証実験特区」に認定され、商店街などでの実験を展開した例がある。

 実験場所としては、つくばエクスプレスの「つくば」と「研究学園」両駅周辺の半径2キロの地域の歩道を、市は検討中。地域の防犯パトロールなどに、ロボットを活用したい考えだ。市によると現在、産総研やセグウェイジャパン、日立製作所などと交渉し、特区になった場合の実験準備を進めているという。

 市原健一市長は15日にあった記者会見で、「低炭素社会の実現や地域の安全を守るということを、国としても最優先課題と位置づけており、つくばでの実証実験も意義あることとして、認められるのではないか」と話し、特区の実現に期待を寄せている。

大空間「生かせ」工場跡地でロケやイベント

◇川口 倉庫・庭園レンタル

 川口市南部の機械・鋳物工場が、テレビ・映画のロケや芸術文化の催しに利用される会場に生まれ変わった。多目的レンタルスペースとして、広大な敷地と倉庫、庭園などが活用されている。同市では工場跡地の多くが高層マンションに様変わりしているが、新たな発想による広さを生かした利用例といえそうだ。

 同市領家5丁目の「大泉工場」(大泉裕美子社長)。80年間続いた電動装置の一貫製造から撤退後、昨年秋に敷地や建物を生かした新事業を始めた。周囲に複数の貸倉庫を持つことから、会社名はそのまま大泉工場とした。

 敷地面積は約3300平方メートルで、使途自在という工場の屋内空間は約1300平方メートル。天井高は8・5メートルで、大きな造形物を持ち込める。階段を設置しており、全体を見下ろすこともできる。

 屋外の300平方メートルを超える庭園でも撮影できる。昭和初期からの洋館や、同時期の瓦を用いた花壇、藤棚などがあり、「創造の幅が広がるフリースペース」(大泉寛太郎専務)になっている。

 映画やスチール写真の撮影、アート作品の制作・展示、アニメ登場人物のキャラクターに扮したコスプレ・イベントなどが催され、いずれも好評だったという。今年もすでに、TVドラマ撮影の数件の依頼が入っている。

 「工場跡地が即、高層建築物とならず、一方の需要を見据えた使途があっていい」と大泉専務。「都心から30分の地の利を生かし、だだっ広い空間に文化的な発信機能を持たせたい」と意欲的だ。

 連絡は大泉工場(048・222・1171)へ。