くまもと点描:要介助者のUDツアー 楽しい会話、笑顔はじけ /熊本

7月10日16時2分配信 毎日新聞

 障害のある人のための旅行会社「旅のよろこび」(熊本市、宮川和夫代表)は、介助が必要な高齢者や車いすの人でも参加できるUD(ユニバーサルデザイン)ツアーを企画している。日帰りから数日間のツアー、海外旅行とさまざま。口コミで人気が広がり、2度目、3度目の参加者も多いという。県内でも珍しいUDツアーに同行した。【和田大典】
 梅雨の晴れ間が広がった先月の日曜日。天草市で海鮮料理を食べ、宇土市の住吉自然公園でアジサイを見る日帰りツアーに、聴覚障害のある人や車いすが必要な高齢者ら12人が参加した。最高齢は93歳。
 移動はリフト付きバスを使う。車の乗り降りやトイレ休憩などを考えた余裕のある時間設定だ。9人は車いすで、坂道や段差、階段などが多く、ほぼ全員に1人ずつ介助がいる。同社社員3人と、理学療法士や学生ら12人のボランティアが同行した。
 車いすで参加した、あさぎり町の深見敏博さん(65)は「自分が旅行に行きたくても家族の都合が合わないこともしばしばだが、このツアーなら1人でも参加できる」と話す。バスの中では自己紹介などをして打ち解けた。聴覚障害の人とは手話で会話をする。日常とは違う風景、他の参加者との楽しい会話に笑顔がはじける。
 ツアーの締めくくりに参加者が感想を語り合った。「楽しかった。また参加したい」。目に涙を浮かべ「ありがとう」と礼を述べる人もいた。
 宮川代表は言う。「だれだって旅にでたいもの。自分1人でも参加できるのか、トイレは大丈夫かという不安をもっている人が多いが、あきらめてほしくない」。参加者は文字通り「旅のよろこび」を味わった。

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