阪神間モダン、後世に

◆大正時代の洋館、市に遺贈 元所有者の父が設計/宝塚
 宝塚市雲雀丘1丁目にある大正時代の洋館が、所有者だった故人の遺志に基づき市に遺贈された。市の都市景観形成建築物に指定されており、閑静な住宅地として知られる雲雀丘地区の代表的な洋風建築。市は今後、活用方法を検討していくという。
 寄贈されたのは、土地約1520平方メートル(約460坪)と、木造3階建ての本宅、木造2階建ての別宅の計2棟。今年3月に亡くなった元所有者、故安田敏子さんの父が独学で設計したという。和大工が建築にあたったとされ、洋風の外観のなかにあって、内部には仏間や和室もある。
 本宅は1921(大正10)年に完成。市内に19棟ある都市景観形成建築物の一つで、淡いピンクの外壁によろい戸や張り出し窓、三連の円頂窓が取り付けられたモダンな造りになっている。

◆消えたお屋敷、雰囲気知って/芦屋署旧庁舎で写真展
 明治から昭和初期にかけて芦屋市内に建てられた和洋館の写真が、芦屋署(芦屋市公光町)東側に残る旧庁舎階段ホールで展示されている。
 撮影したのは、1級建築士で「芦屋洋館建築研究会」の福嶋忠嗣(ただ・つぐ)代表(65)=芦屋市精道町。阪神大震災前年の1994年、景観条例の制定をめざしていた芦屋市から依頼され、市内の約300の近代建築を調査。自転車で見て回り、家主に建物の歴史を聴いた。展示されるのは、その際に撮影した写真だ。
 震災で倒壊したり家主の事情で取り壊されたりして今は見ることができない26邸の写真を、来年の6月30日まで毎月2邸ずつ紹介する。A3サイズで、1邸につき4枚。紹介文も添えられている。
 「震災後は街並みも変わり、調査した300カ所のうち残っているお屋敷は少ない。最近引っ越してきた人たちにも、かつての芦屋の雰囲気を知ってもらいたい」と話している。(山崎聡)

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