サンタ姿で放火  罪状の一部否認

サンタクロース姿でビルに侵入、放火したなどとして現住建造物等放火罪などに問われた熊谷市戸出、無職新井幸一郎被告(43)の裁判員裁判の初公判が24日、さいたま地裁(井口修裁判長)であった。新井被告は罪状認否で「尻餅をついた際に足元に液体が広がった」と、ガソリンを散布したとの起訴内容を否認した。

 検察側の冒頭陳述によると、新井被告は昨年12月21日午後6時40分頃、同市佐谷田のビルメンテナンス会社に侵入、男性社長(当時61)の顔を殴るなどしたうえ、階段付近にガソリンをまき、放火。社長に肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷を負わせたなどとされる。新井被告の父親の死後、新井被告と母親に農地が残されたが、母親が社長らに一部を売却。検察側は、母親が2006年に、農地を担保に社長から借金をしたのが原因などと説明したため、新井被告は社長を恨むようになり、「一生忘れられないような嫌な気分にさせてやろう」とサンタクロース姿で事件を起こしたと指摘した。

(2010年8月25日 読売新聞)

「ロボスーツ」リハビリ支え、医療・介護に導入進む

半身マヒ患者「階段を上れた」
人の「意思」で動くロボットの利用が、医療や介護の現場で広がっている。ロボットスーツ「HAL(ハル)」の訓練施設が今月、茨城県つくば市にオープン。最先端技術がリハビリをサポートするのはサイボーグ世界をほうふつさせる。励みにつながる意外な効果もみられる。(水戸支局 渡辺加奈)

 埼玉県飯能市の飯能靖和病院で、両脚にHALを装着した男性(75)が、かすかなモーター音とともに段差10センチの階段で上り下りを繰り返した。「階段を上れるようになるとは思わなかった」とうれしそうだ。見守る医療スタッフからも「すごい」と歓声が上がった。

 男性は4月に脳卒中で左半身がマヒした。5月下旬からHALを取り入れたリハビリを始めた。座ったまま足を曲げ伸ばししたり、立つ座るを繰り返したり、段階に応じて新しい動きに挑戦してきた。

 練習を積んできた男性は、「最初はHALに引っ張られるような感じだったが、今はつえをつきながら歩けるようになった。日本が作った最先端のロボットを着けられることもうれしい」と手応えを実感する。

 リハビリを担当する大沢愛子医師(35)は「HALで動けるようになると、つらいリハビリにも希望が持てる。ロボットを使える楽しさも大きい」と効果を語る。

 HALは全国の病院や介護施設など37施設で導入されている。開発した筑波大の山海嘉之教授(52)は、「人生80年、身体機能低下の傾きを少しでもなだらかにし、元気で暮らせるようになればいい。将来的には家庭で使えるようにしたい」と話す。

 山海教授が社長を務めるベンチャー企業「サイバーダイン」は4日、障害者らがトレーニングできる施設をつくば市に開設。理学療法士らがサポートし、症例を集めて今後に生かす狙いがある。

 茨城県は生活支援ロボットの開発を促そうと、約1億6000万円で30体を導入。県立医療大では6月から、脊髄(せきずい)損傷で車いすを使っている人や、脳卒中でマヒが残る人など10人に装着してもらっている。着脱の難しさや費用などの面で課題もある。同大の居村茂幸教授(61)は「マヒで必要以上に緊張した筋肉に対応困難な場合がある」と指摘し、利用者の視点を生かしながら細かい症状に対応できるように研究していく。


 日本は介護ロボットの分野で、「世界市場を獲得する」を目指している。大手自動車や家電メーカーなども相次いで参入。経済産業省は「高齢化社会で介護ロボットは大きな意味を持つ。ニーズも高い」(産業機械課)と、普及のために安全基準づくりを進めている。

 HAL サイバーダインが2009年に発売した世界初の福祉用ロボットスーツ。体を動かそうとするときに出る微弱な「生体電位信号」をセンサーでとらえ、モーターを動かして手足の動きをサポートする仕組み。動きたくない意思が伝われば、その動きも止まる。

(2010年8月20日 読売新聞)

1300年祭ナビ:獅子閣の修理完了 10月から特別公開--生駒・宝山寺 /奈良

宝山寺(生駒市門前町)で、県教委が進めていた獅子閣(重要文化財)の修理が完了した。明治17(1884)年に完成した客殿で、外観は洋風、構造は伝統的な工法を使う「擬洋風」と呼ばれる建築。これまで原則非公開だったが、今年は平城遷都1300年を記念して10月15日~11月15日に特別公開する。寺は今後も公開の機会を増やすことを検討している。

 獅子閣は、らせん階段やアーチ形の窓欄間など洋風の要素と、格(ごう)天井や漆喰(しっくい)磨き仕上げの壁などの伝統技法が巧みに使い分けられ、材料も上質で貴重な建築とされる。

 基礎となる石垣が沈下して建物が傾斜し、外壁に亀裂が入るなどしていたため、県教委が05年11月から、総事業費4億6300万円をかけて修理していた。建物の南半分を解体して補強し、耐震のため、壁の中に筋違(すじかい)という斜めの材を挿入した。【花澤茂人】