宝山寺(生駒市門前町)で、県教委が進めていた獅子閣(重要文化財)の修理が完了した。明治17(1884)年に完成した客殿で、外観は洋風、構造は伝統的な工法を使う「擬洋風」と呼ばれる建築。これまで原則非公開だったが、今年は平城遷都1300年を記念して10月15日~11月15日に特別公開する。寺は今後も公開の機会を増やすことを検討している。
獅子閣は、らせん階段やアーチ形の窓欄間など洋風の要素と、格(ごう)天井や漆喰(しっくい)磨き仕上げの壁などの伝統技法が巧みに使い分けられ、材料も上質で貴重な建築とされる。
基礎となる石垣が沈下して建物が傾斜し、外壁に亀裂が入るなどしていたため、県教委が05年11月から、総事業費4億6300万円をかけて修理していた。建物の南半分を解体して補強し、耐震のため、壁の中に筋違(すじかい)という斜めの材を挿入した。【花澤茂人】