4月24日14時59分配信 京都新聞
幕末の大事件「池田屋騒動」の舞台となった京都市中京区の「池田屋」跡で、約130年ぶりに「池田屋」が復活する。7月に新たに開店する居酒屋の店名に「池田屋」が冠されるためで、地元の商店主なども「町おこしの起爆剤に」と期待を寄せている。
「池田屋騒動」は1864(元治元)年7月8日に発生。旅館池田屋で会合していた尊王攘夷(じょうい)派の土佐、長州藩士らを新選組が襲撃し、新選組の名を世間に知らしめるきっかけとなった。主人の池田屋惣兵衛は反幕府勢力をかくまったとしてとらえられ獄死。池田屋も営業停止となった。その後、縁者らによって近くの三条木屋町付近で同じ屋号で営業していたが、やがて廃業した。
三条通の池田屋跡地は戦後、別の経営者が旅館を経営後、ファストフード店の入るテナントビルやパチンコ店などになった後、昨年初めからは空きビルとなっていた。
居酒屋チェーン「チムニー」(東京都)が新たに開く店名は「はなの舞 池田屋店」で、池田屋の名前が復活する。地上2階、地下1階の現代的な建物だが、内装は江戸時代をイメージし、騒動を題材にした映画やドラマなどに度々登場する「池田屋階段落ち」の高さ約7メートルの階段も設ける予定。
同社は「旅行業者とタイアップするなど、地元の観光振興に役立ちたい。騒動の跡地ではあるが『癒やし』の場を提供していきたい」としている。
地元の商店主でつくる三条小橋商店街振興組合の大西弘太郎理事長(55)は「新選組の法被を作り、跡地に案内板を建てるなどの取り組みをしてきだだけに、池田屋の名前の復活はうれしい。さまざまな面で、地域が盛り上がるように協力をしていければ」と期待を寄せている。