4月14日17時6分配信 紀伊民報
東南海・南海地震に備え、和歌山県と白浜町が日置の志原海岸近くに造成していた津波避難場所が、ほぼ完成した。国道42号沿いの山を切り崩し、高台に約4000平方メートルの平地を整備した。津波襲来時や道路が寸断された際の避難場所、防災拠点にする。町防災対策室は「今後、ヘリポートや防災施設の建設も進める。防災公園としての活用も考えられる」と話している。
紀伊半島沖でマグニチュード8・6の巨大地震が起こった場合、県の予測では志原海岸に高さ3・8メートルの津波が襲来する。町によると海岸周辺や日置川河口付近などで国道の冠水、道路寸断が予想され、海沿いと川沿いに民家が立て込んでいる日置川地域の多くで、集落が孤立する可能性があるという。
国道の通行者や付近住民が利用できるような大規模避難場所がないため、土砂災害の心配があった国道沿いの山を国土交通省の特定利用斜面保全事業で整備した。
造成は県が中心になって2004年度から5年計画で実施し、総事業費は約4億円。平地は形状が細長く、2段になっており、高い所は標高25メートル。避難場所に上るための階段を7カ所、自動車進入路を2カ所整備している。
利用法は主に町が考え、ヘリポートの整備や防災施設の建設を検討中。09年度は完成した平地の舗装(または芝生化)をする。植樹なども考えたいという。
頂上部からは志原海岸一帯が一望できる。防災対策室は「防災公園としての利用も考えられるが、主体はあくまで大規模災害時の広域避難場所。具体的な管理や利用については今後、地元とも相談して考えたい」と話している。
いまのところ避難所には階段を使って上れるが、自動車進入路は利用できないようにしている。