10月21日19時28分配信 医療介護CBニュース
厚生労働省は10月21日、第5回「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」(座長=山内繁・早大人間科学学術院特任教授)を開催し、階段移動用リフトと入浴用介助ベルトを新たに介護保険の給付対象とする方針を固めた。今後、介護給付費分科会に報告する。
検討会は前回、福祉用具や住宅改修などの8項目の保険給付について議論し、「起きあがり補助装置(体位変換器)」「離床センサー(認知症老人徘徊感知機器)」「自動排泄処理装置」「引き戸等の新設」の4項目を給付対象とする方針を示した。
今回は、「寝返り支援装置」「階段移動用リフト」「入浴用介助ベルト」「ターンテーブル(入浴補助用具)」の4項目を検討した。
寝返り支援装置は、マットレスの下に置いた空気袋を傾斜させ、寝返りが難しい人の体位を変えるものだが、伊藤利之委員(横浜市総合リハビリテーションセンター顧問)が、「自動的に寝返りさせる装置はこれまでもあったが、使用感が悪い。褥瘡予防エアマットの方が安定しており、業界でも主流だ」と指摘。その結果、給付対象にはならなかった。
階段移動用リフトは、階段昇降ができる操作自由度の高いリフトで、平地では車いすのように移動できる製品もある。
村尾俊明委員(テクノエイド協会常務理事)は、「リフトの事故は十分考えられる。安全を担保する仕組みが必要」と述べ、久留善武委員(シルバーサービス振興会企画部長)は、「機器として有用だが、講習を家族だけでなくヘルパーなどにも課すべきでは」と指摘した。これに対し、事務局が「すべてのヘルパーに講習を課すのは非効率なため、誰に講習するかなども検討していきたい」との考えを示し、給付対象とする方向となった。
入浴用介助ベルトは、メーカーの安全基準が議論されたが、実際に1年以上使用しても問題がなかったことが事務局から報告されたことなどから、給付対象とする方針だ。
入浴時に要介護者などの体の向きを変えるターンテーブルは、固定式でなければ入浴以外の用途にも使用でき、入浴用とそれ以外の用途の線引きが難しいことから、給付対象にはならなかった。
このほか、自動排泄処理装置(専用排泄器具を装着し、尿と便を汚物タンクに自動吸収しながら、陰部を温水洗浄する機器)については、前回の検討会で給付対象とする方針を示したが、さらに検討を加えた。メーカーに一定の衛生水準を求めるかどうかについて議論したほか、久留委員が「製品の廃棄のほか、高額商品のため使われなかったケースなども検討する必要がある」と述べた。
事務局は、前回と今回の検討内容を介護給付費分科会に報告するとしている。