熊野古道の石畳改修 滑りやすく危険(和歌山)

2月13日17時18分配信 紀伊民報

 世界遺産に登録されている田辺市中辺路町近露の熊野古道で13日、石畳の改修工事が始まった。傾斜がきつい斜面で滑りやすく、以前から危険性が指摘されていた場所で、石畳の坂道を階段状に変更する。県教委文化遺産課によると、世界遺産登録後、県内の熊野古道で、災害復旧以外に文化庁の許可を得て、道の形を変更する事例は珍しいという。
 場所は牛馬童子像から近露王子に至る箸折峠の下り坂。番号道標25番から市道交差点までの約100メートルのうちの一部。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の核心地帯(コアゾーン)に指定されている。
 石畳は、1979年に文化庁の補助事業「歴史の道整備事業」で、旧中辺路町が敷設した。石畳は既に階段状になっている所もあるが、30センチ前後の石を並べた坂道が一部あり、以前から雨天時には歩行者が坂道で滑り危険だと指摘を受けていた。
 そのため本年度、市教委文化振興課が文化庁に改修を申請した。現状を変更する許可が下りたため、番号道標25番近くの10メートルと、市道との交差点近くの5・5メートルの2カ所を改修することが決まった。
 改修工事では、石畳の一部を取り外した後、石の階段を設ける。現在の景観をできる限り維持するため、現状の石の配置や大きさを一つずつ測量しており、石を組み直して階段を造る。
 工事期間は2月末までの予定で、期間中も通行できる。予算は50万円で市と県が2分の1ずつ負担している。
 世界遺産の核心地帯は、登録区域に当たり、文化財保護法に基づいて保護を受ける。登録した状態そのままを維持することを基本にしている。緩衝地帯(バッファゾーン)は核心地帯を保護するために周囲に設ける区域を指し、市町村の条例などで保護している。
 熊野古道では、道を維持するため日常的に管理団体などが手入れを行っているが、形を変更させる場合は関係機関に届け出が必要になる。

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