住宅用火災報知機 県内普及低調3割程度

火災の早期発見や被害拡大阻止に向けて火災警報器の住宅への設置が2006年6月に義務付けられた。県内では、既存住宅については市町村の条例で来年5月末までが期限となっているが、普及は進んでいない。期限が近づく中で、消防関係者は、早期設置の呼びかけを強化している。(藤井裕介)

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 5日、新潟市中央消防署員らが、新潟市中央区の「スーパーセンタームサシ新潟店」前で、来店客に住宅用火災警報器の設置を呼びかけた。義務化まで約1年となり、少しでも多くの市民に警報器を設置してもらおうと緊急キャンペーンを実施した。

 足を止め、警報器の説明などを受けていた同区の会社員の男性は「まだ火災警報器をつけていない」という。来年5月末までに設置しなければならないと説明を受けた。「まだ期限まで余裕があるし、罰則があるわけでもない。結局は自分のことではあるんだけど……」

 06年6月に改正消防法が施行され、義務化された。来年6月以降は、寝室や階段に設置しなければならないが、罰則はない。

 総務省消防庁によると、昨年12月時点での県内の住宅用火災警報器の推計普及率は、29・7%で、全国平均(52・0%)を大きく下回る。県消防課や新潟市消防局などは、まだ期限がある▽安いもので一つ約3千円でも1世帯では複数必要になり、費用がかかる▽中越沖地震からの復興策が優先され、防災関係者が火災警報器の普及にまで手が回らなかった――などと背景を説明する。

 消防本部の管轄地域別の推計普及率をみると、最も低いのは加茂地域の9・4%。加茂地域消防本部は、「推計値の取り方にもよるが、人員も少なく各世帯にしっかりと設置を呼びかけられなかった」という。消防団の協力で各世帯に設置を呼びかけるなどして今年4月時点では「30%ぐらいにはなった」というものの、100%に向けて「住民に必要なものと判断してもらうため、各世帯への呼びかけを続けるしかない」と話している。

 各消防本部などでは普及策として、町内会などでの共同購入を呼びかけている。価格を抑えられ、「悪質な訪問販売の被害防止にも役立つ」(新潟市消防局)という。

 新潟市中央区の「東堀前通1・2番町町内会」では、07年に、町内会で共同購入した。会長の阿部信一さん(69)は、「我々の町内のように、住宅が密集している地域では、1軒だけつけていても意味がない。みんなの家につけてすぐに火災が発見されれば、燃え広がらずにすむから」と話す。共同購入にあたっては、町内会費から購入世帯に1千円を補助し、7割近い世帯が共同購入に応じたという。阿部さんは「火災警報器の設置は、自分のためではなく、お互いのため。そこを皆さん理解してくれてよかった」と話している。これまで火災警報器が作動するような事態にはなっていない。

 ここに来てホームセンターなどでの住宅用火災警報器の売り上げが増える動きが見られるという。新潟市中央消防署が緊急キャンペーンを行ったスーパーセンタームサシ新潟店でも、4月の売り上げは前年同期比で20%ほど伸びているという。荒木信雄店長は、「県内の義務化まで『あと1年』と呼びかけている効果でしょうか」とみて、今後は「来年の3~4月ごろの『駆け込み』に向けて商品が足りなくならないように、在庫を増やすようにする」。売れ筋は煙を感知すると警報音を発する約3千円の商品という。「今が底値ではないか。これから他県でも設置義務化の時期になり、商品がなくなれば価格が上がることもあるかもしれない」とみている。

 悪質な訪問販売などへの注意も必要だ。県消費生活センターによると、県内の消費生活センターへの住宅用火災警報器の購入についての相談件数は、ここ数年、10件弱で推移している。義務化を前に「訪問販売なども増える可能性がある」とし、「ちょっとでもおかしいなと思ったらすぐに消費生活センターに相談して」と話している。

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