後期高齢者保険料、「普通徴収」滞納1割強-青森

11月14日15時47分配信 医療介護CBニュース

 4月に始まった「後期高齢者医療制度」の保険料徴収で、年金受給額が年額18万円未満の人などを対象にした「普通徴収」の滞納者が、青森県内で4000人を超え、滞納率が12%に上ることが、同県保険医協会の調べで明らかになった。同制度では、保険料を一年以上滞納した場合に「資格証明書(資格証)」を発行する規定になっており、同協会では、「『資格証』が発行されると、医療機関の窓口で10割負担をしなければならず、必要な医療を受けられなくなる“受診抑制”が強まる」として、同制度の抜本的な見直しを訴えている。

 同制度では、介護保険料と同様、保険料について年金からの天引きを原則にしているが、年金受給額が年額18万円未満の人や、介護保険料の天引き額と後期高齢者医療保険料の合計額が年金受給額の5割を超える人を対象に、天引きではなく、納付書や口座振替による「普通徴収」としている。「普通徴収」は7月から始まった。

 従来の老人保健制度では、75歳以上の高齢者には「資格証明書(資格証)」を発行しないことになっていたが、「後期高齢者医療制度」では、保険料の一年以上の滞納者には「資格証」の発行を義務付けている。同協会では、「経済的な理由から保険料を払えない人が、医療機関で10割の負担はできず、受診抑制を助長する恐れがある」として、「普通徴収」の滞納状況を調査した。

 調査では、同県内40市町村のうち、9月分について集計中など1市1町については、8月などの数値を代入して算出した。その結果、「普通徴収」の9月の該当者は、同県内で3万3843人、うち滞納者が4028人で、滞納率は12%だった。滞納率については、50%前後にも上る市町村がある半面、5%未満の市町村もあるなど、地域によって大きな差が見られた。

 医師で同協会の大竹進副会長は、「高齢者は、医療が受けられないと、すぐ命にかかわる危険性があり、従来の制度では『資格証』を発行しないことになっていた。しかし、『後期高齢者医療制度』では『資格証』の発行を義務付けている。国民のさまざまな負担増で保険料を払えない人が増加し、必要な医療を受けられない高齢者が多数に上る恐れがある。同制度では、高齢者の10人に1人が『資格証』を発行される可能性があるとの試算があったが、今回の調査は、まさに、それを裏付ける形になった。同制度は抜本的に見直さなければならない」と強調している。

 同制度の影響については、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が「緊急患者動向調査」を発表しており、後期高齢者の外来(通院日数)が8.47%減少し、高齢者の医療費が1割負担となった2002年の「健康保険法改正」による4.4%の受診減を大きく上回っていることが分かっている。

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