天神地区の放置自転車 午前減っても 夜間は増加 「街全体の問題」認識を

11月21日7時7分配信 西日本新聞

 福岡市・天神地区の夕方から深夜にかけての放置自転車台数が増加している。同地区の放置自転車台数は、隔年の内閣府調査で2001、03年度に全国最悪を記録。市は駐輪場を設置し、放置自転車の撤去作業を徹底させ、05年度以降はワーストを返上した。ところが、撤去作業が行われていない夜間の放置自転車が増え続けている。街のイメージアップのために市民団体も対策を進めており、官民が協力してマナー向上を呼び掛けている。 (地域報道センター・河津由紀子)

 内閣府の調査対象時間帯は通勤・通学者が多い平日午前10時‐正午。01年度に天神地区にあった約4500台の放置自転車は、07年度には約700台に激減した。

 一方で「夜の自転車の放置が多い」と苦情が出始めた。06年度からの市の時間帯別調査によると、07年度の平日の放置自転車台数は、午後5時‐同7時が約2050台(前年度比約100台増)、午後10時‐同11時が約1470台(同約460台増)だった。

 市の撤去作業は日中だけで、中央区自転車対策推進課は「撤去の恐れがないため、天神で夜間に働く人や飲食する人の放置が増えているのでは」と言う。

 市が天神地区に設置した駐輪場は4500台分。民間も合わせると7500台が収容できる。市営の駐輪場の利用率は約8割で、特に地下に設置された天神駐輪場(警固公園下)は、階段の上り下りに時間がかかるため、利用率は伸び悩んでいる。比較的利用率が高い路上駐輪場を増やすスペースは既にない。

 市は今後、駐輪場の利用を促す啓発活動を進めるほか、同地区の民間企業や商業施設に駐輪場の設置を求める。市は駐輪場の管理や街頭指導員の導入など同地区の自転車対策だけで年間約3000万円を投入している。

 非営利団体(NPO)などでつくる市民団体「We Love 天神協議会」は、駐輪場利用促進策として、「チューリンクーポン」を06年度から導入した。収容台数の多い天神駐輪場、きらめき通り駐輪場、ソラリアターミナル駐輪場、ヴィオロ駐輪場(いずれも3時間まで無料)の駐輪券を加盟店に提示すると、飲食代や商品の3‐20%の割り引きなどが受けられる。現在、加盟店は85店という。

 同協議会自転車共生ワーキング長の竹石明弘さん(36)は「自転車放置は行政の課題ではなく街全体の問題だという認識を、市民が共有する必要がある」と訴えている。

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