世界遺産・黄山の観光事業、観光インフラを見る

1月28日16時46分配信 サーチナ

日本経営管理教育協会が見る中国 第31回-紺野浩次(日本経営管理教育協会副会長兼事務局長) 
 
◆黄山の魅力

 明代の旅行家徐霞客は「黄山から帰り来たれば五岳も見ず」と詠んだ。黄山は安徽省南部にある。切り立った岩山と目も眩むような千仞の谷、岩を割って生えていると表現される風情ある松の木、山や岩を洗うように流れる雲は早く、時折雲の切れ間に差し込む陽光が折り合って醸し出す風景は千変万化する。そして疲れと崖の深さと感動で、足を震わせながら凝視することになる。

 水墨画の中に入り込んだ錯覚を覚え、時間を忘れてしまうが、写真を趣味とする人にとっては垂涎の場所であり、四季を通じてその風景を楽しんでいるようだ。将に天下の秀峰であるが、知人に聞くと意外に登った人は少ないが、一押しの観光地である。

◆黄山の観光インフラ

 海抜900メートル付近までは専用バスで登り、そこから1600メートル位までをケーブルカーで10分ほど上がる。ケーブルが随分太く見えるがドイツ製である。鉄塔の上に腹ばいになりケーブルの弛みをチェックしている人がいた。遠くて分からないが、あの人もドイツ人かも知れないなどと考え妙に安心しながら上る。

 そこから第2高峰の1860メートルとも1841メートルとも言われる光明頂を目指して、ひたすら石段を登る。途中一山越した1600メートル付近にはホテルが数軒あり、光明頂の頂上にもある。

 全山道路と階段が整備されており土の上を歩くことはない。 階段も修理を欠かさず、道路清掃人にも出会う。

 また、かつて山火事が発生したということで、頂上まで赤い消火栓が点在しており、少し異様に見えるが、トイレも整備され、観光地としてのインフラは申し分がない。

◆黄山で中国らしさを味わう

 1600メートル付近のホテルは四つ星クラスで設備もサービスも市中と殆ど変らない。従業員に部屋の鍵を持って場所を聞いたら、顎で教えてくれたくらいが違うだけであった。最も驚いたのは光明頂を含めたホテルまでの業務物資の運搬である。当然ヘリコプターかケーブルカーを利用していると思ったが、600メートル付近の集荷所から毎日2回、多くの強力が全ての物資を天秤を担いで上げている。

 地元の雇用対策なのか経済性優先なのかは分からない。そして登る前にガイドから強力の邪魔にならない歩き方を指導されることになるが、すれ違う度に申し訳ない思いになってしまう。

 岩山をよじ登ったりすることがないので、登山を楽しむ人にとっては物足らないかもしれないが、観光地としては十分堪能できるので女性にもお薦めできる。なお、天気が変り易く視界が開けないこともあるのでじっくり堪能したい方は、山頂ホテルに2泊の予定でお出かけになることをお薦めしたい。そのようなツアーもあるようだ。

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