江戸時代の石堤と階段を発見 熊野本宮大社旧社地近く 和歌山

2月17日8時3分配信 産経新聞

 田辺市本宮町の熊野本宮大社旧社地の大斎原(おおゆのはら)近くで、江戸時代に築かれたとみられる石の堤防「石積み護岸」と、高低差約4メートルで20段の石段が見つかり、県教委文化遺産課と県河川課が16日、発表した。旧社地の証誠殿のほぼ正面に位置する場所から発掘されていることから、周辺を流れる熊野川の船着き場からの参道とみられ、当時の同大社の全容を示す貴重な遺構という。

 同大社は明治22年の洪水で流されるまで熊野川と支流の音無川に挟まれる中州に鎮座したことから、水の神様としても知られていた。移築後、大斎原は旧社地として神域に指定され、大鳥居が建っている。

 熊野川河川整備計画に基づく堤防整備、大斎原の浸食対策工事の事前調査として全長約200メートル、8カ所にわたって試掘が行われた際、第7トレンチ(試掘壕)から幅約1・8メートル、高低差約4メートル、20段の石段が見つかった。下層と上層で石の積み方や形状が異なっていることから当時少なくとも3回にわたって改修が行われたとみられ、石に江戸時代のものとみられる炭などの炭化物が付着していたことから、江戸時代後期に建造された遺構である可能性が非常に高いという。

 発見された旧石積護岸と階段は整備の着工に伴い、2月末までに埋め戻される予定で、県教委などは21日午後1時から現地説明会を行う。県教委文化遺産課の小田誠太郎班長は「川と闘いながら鎮座した当時の熊野本宮大社の遺構に触れることができる数少ない機会」と話している。

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