墳丘表面全体を石でおめかし 京都・元稲荷古墳

2月18日22時28分配信 産経新聞

 全国最古級の前方後方墳とされる古墳時代前期(3世紀後半)の元稲荷古墳(京都府向日市)で、後方部の平坦(へいたん)面や外周から敷石が見つかり、市埋蔵文化財センターが18日、発表した。同古墳では、階段状の前方部の斜面でも敷石が見つかっており、築造当時は墳丘の表面全体が石で覆われていたとみられるという。

 同センターは「大掛かりなつくりにすることで、被葬者の権力を誇示したのでは」と推測。邪馬台国の女王、卑弥呼の墓との説もある箸墓(はしはか)古墳(奈良県桜井市)など、同時代の古墳の成り立ちを考える上でも貴重な資料となりそうだ。

 墳丘北側の後方部計約60平方メートルを調査。敷石は、3段の階段状になっている平坦面(幅約1・6メートル)や外周で出土した。墳丘の北端も確認され、元稲荷古墳の全長は約92メートルで、箸墓古墳の約3分の1の規模だったこともわかった。

 元稲荷古墳では、昭和45年の調査で前方部でも敷石が確認されており、同センターの梅本康広・調査係主任は「外観はまるで『石の山』のようだったのではないか」と推測している。

 また、縁に独特の丸みを持つ讃岐産の祭儀用土器の破片約30点も出土。被葬者と讃岐地方との関連をうかがわせた。梅本主任は「被葬者は大和政権に参画しながら、政治的に自立した有力な首長だったのではないか」とみている。

 現地説明会は21日午後1時から。阪急西向日駅から北西へ徒歩約15分。

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