3月4日22時0分配信 カナロコ
火災時の逃げ遅れなどを防ぐ目的で設置が義務化された住宅用火災警報器について、相模原市消防局は、一戸建て住宅に各戸訪問して設置の必要性を訴えるキャンペーンを始めた。同市によると、六日まで八千戸を訪問する見通し。住民からは「設置場所が分からない」などと質問が上がり、必要な情報が行き渡っていない課題も、浮き彫りとなった。
住宅用火災警報器は二〇〇六年六月、一戸建てや小規模共同住宅に設置が義務化されたが、一一年五月末まで猶予期間がある。
昨年六月の国調査によると、市内の推定普及率は13・5%。死者が出た火災で住宅内に警報器が設置されていないケースも続いており、市消防局は「専門知識を持つ市消防局職員が、設置の意義を直接訴えることが必要」と判断。七日までの春季火災予防運動の一環として、各戸訪問を初めて実施した。市によると、県内自治体では川崎市が同様の取り組みを行っている。
キャンペーンでは、職員が一戸建て住宅を中心に訪問し、チラシを手渡して設置を促した。住民からは「設置場所や個数が分からない」「設置業者を紹介してほしい」という質問が多く、職員はそれぞれ「台所と寝室、そして階段の二階部分の少なくとも計三カ所に一個ずつ必要」「最寄りの業者に頼んでほしい」と説明していた。
また南消防署の聞き取り調査によると、設置義務化以降の新築家屋の大半が警報器を付けていた一方、既存住宅では設置検討中が多数。検討中の理由としては「猶予期間中だから」「家屋の改装を考えているため」という声が聞かれた。
市消防局は「いままでの啓発活動で設置義務化の認識は広がっているが、今後は購入の後押しが課題」として、自治会での共同購入などを推進するという。