X橋を永遠に 石材活用し参道整備へ 仙台

5月28日14時34分配信 河北新報

 仙台市宮城野区の町内会「名掛丁東名会」が、本年度にも撤去工事が始まるX(エックス)橋(正式名称・宮城野橋)の石材を活用して歩道を整備する計画を立てている。大正期に建設された橋は独特の形状から市民に愛されている歴史的建造物。関係者は「姿を変えても地域の財産にしたい」と管理する市に働き掛けている。

 東名会は宮城野区名掛丁や榴岡地区の住民でつくる。区画整理事業で変ぼうする地域の姿を伝承する活動の一環で、20年ほど前からX橋などの顕彰に取り組んできた。

 都市計画道路の建設に伴い本年度にも撤去工事が始まることを知り、3月中旬に石材の無償譲渡を求める要望書を市に提出。市も地元の強い意向を踏まえ、同月末に「できるだけ要望に応えたい」と文書で回答した。

 提供されるのは、X橋東側の階段の石になる見通しで、譲渡は2010年度になりそうだ。石は橋から南西約100メートルにある地元のシンボル、塩釜神社に移す予定。地区民が大事に守る神社の参道(約10メートル)などに活用し、由来を記した案内板も設ける予定だ。

 東名会副会長の菅原章さん(68)は「X橋は子どものころから親しみのある思い出深い建造物。街の歴史を伝える貴重な財産として後世に伝えていきたい」と語る。

 市南道路建設課は「設置後相当の年数が経過しているため再利用できるかどうかは分からない。ただ、廃棄するよりは活用する方がいい。工事の状況もあって、譲渡の確約はできないが、石を提供する方向で検討していきたい」と話している。

[X橋]1921年ごろに建設されたJR東北線をまたぐ橋。たもとがそれぞれ二またに分かれた形状から呼び名がついた。現在は橋の西端が1本の道路に集約され、Yの形になっている。東京駅など日本の近代建築物を支えた茨城県笠間市産の稲田石が使われている。終戦後のX橋周辺を描いた「いつかX橋で」(熊谷達也)、「X橋付近」(高城高)など、小説の題材にもなっている。

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