5月28日14時52分配信 毎日新聞
岐阜県飛騨市の神岡鉱山で働き、じん肺になったとして27人の元労働者と遺族計30人が28日、鉱山を経営する三井金属鉱業(東京都品川区)と子会社・神岡鉱業(同市神岡町)を相手取り、慰謝料など1人当たり3300万円、総額8億9100万円の損害賠償を求め岐阜地裁に提訴した。
訴状によると、元労働者27人は1947年~2004年3月、坑内で採掘などの作業に従事し、うち1人が死亡。坑内では多量の粉じんがあったが、両社が集じん装置の設置や労働時間短縮などの対策を取らなかったと主張している。
「三井金属神岡鉱山じん肺訴訟原告団」によると、これまで両社からの謝罪や補償はなく、訴訟を通じて企業責任を明らかにし、じん肺被害の早期救済を求めていくという。
神岡鉱山は1874年に三井組が経営を開始し、01年6月の採掘中止までの約130年間、「東洋一の鉱山」として亜鉛や鉛などを供給。一方で、カドミウムを排出し、「イタイイタイ病」を神通川流域で引き起こした。
原告団長の水本明治さん(62)は01年までの31年間、神岡鉱山で働き、じん肺のために坂道や階段を上ると息苦しくなる。「企業に反省してもらい、安心して働ける環境整備に力を入れてほしいという思いで提訴した」と話した。三井金属鉱業広報室は「訴状を見ていないので、コメントしようがない」と話している。【鈴木敬子】