7月30日9時31分配信 産経新聞
男子200メートルバタフライ決勝で、松田丈志(25)=レオパレス21=は苦手の前半から飛ばしフェルプスに食らいついた。だが相手は北京五輪8冠の「怪物」。ラスト25メートルで競りかける余力をなくし失速。残り10メートルでは後続選手にも抜かれ、悔しい3位に。「一世一代のチャンスだったんですが…」と苦笑した。
残り50メートルでフェルプスを「とらえられる」位置につけ、日本記録を0秒64上回るペースでターン。前日の準決勝ではジャケド社製の新型高速水着を着用し、怪物に0秒13差をつけて全体1位で通過し、初めて「戦える」と意識していただけに「攻めたことに後悔はしていない。彼と勝負できたのはいい経験だから」と胸を張った。
銅メダルを獲得はしたが、優勝に絡めなかった北京五輪を教訓に、さらなるスピードアップを図った。階段をダッシュして太もも裏や体幹を鍛え、深く潜るドルフィンキックを身につけた。フェルプスを意識せず、いつものように後半勝負に徹していれば、銀メダルと日本記録に届いていたかもしれない。
だが北京五輪で銅メダルを「自分の色のメダル」と満足げに喜んでいた松田が、今回は「少し悔しい。そう思えることが成長した証しかな」と話し、さらなる進歩にどん欲さをうかがわせた。
北京後は、1年1年考えながらやっていくと話していた25歳。フェルプスと肩を組んだ表彰台から、ロンドン五輪で再対決する姿がきっと見えたはずだ。(青山綾里)