9月15日20時0分配信 毎日新聞
◇JRの提案受け
JR奈良駅の立体交差化に伴い、JR西日本が進める歩行者デッキと階段の建設事業で、奈良市がJR側に支払う工事委託費が当初試算した2億円から、約4憶5000万円に増額されていたことが分かった。14日の市議会本会議で市側が明らかにした。委託費は審議中の補正予算案に計上されているが、市議会では反発が広がっており、可決されるか不透明だ。【泉谷由梨子】
JR西日本は高架駅の東西を結ぶ自由通路を建設している。その通路から地上に降りるまでの歩行者デッキと階段は奈良市がJRに委託して建設することになった。
計画では、駅の東側にデッキ(幅9メートル、延長26メートル)と階段2カ所(幅3メートルと5メートル)、西側は既に整備されている歩行者デッキとつなぐための新たなデッキ2カ所(幅26メートルと幅2メートル、長さはいずれも7・5メートル)を新設する。
市は今年4月からJRと委託工事の協議を開始。当初市側は、階段を市が建設し、デッキだけ委託する方針で2億円と提示した。しかし、JR側は、安全運行上の理由などから、階段を含めてほぼ全工事を受託したいと提案。最終的に、市はJR側の提案に沿う形で4億5000万円の随意契約を結ぶことで合意した。
市のJR奈良駅周辺開発事務所は「通常工事より高い認識はあるが、鉄道関連工事には特殊事情がある」としている。一方、ある市幹部は「法律上の要請はあるが、市には鉄道工事の積算などノウハウがなく、適正価格かどうかは不明。交渉がJR側にイニシアチブを握られているのは問題だ」と話す。
市議会は、審議を延長し、最終日の28日に改めて協議することになった。仲川市長は「随意契約には市民の不信感もある。より詳しい事実関係を精査し、議会に再度説明したい」としている。