佐伯市沖の豊後水道の真ん中に立ち、百年以上光を放っている水ノ子島灯台で22日、今年最後の点検作業があった。潮の流れが速く大型船も頻繁に通る要衝で、長年、特に太平洋側から北上してくる船に頼りにされてきた。管理する大分海上保安部交通課の海上保安官らが年末年始の安全航行を願い、光を出す部分やレーダー機器などを念入りに点検した。
水ノ子島灯台の初点灯は1904(明治37)年3月20日で、県内で3番目に古い。岩礁の無人島に立つ灯台本体の高さは約40メートル、平均水面から灯火までの高さは約56メートルで国内有数の規模。外壁部分は花崗岩(か・こう・がん)を積み上げて作られており、れんがなどとは比較にならないほど強いという。今年2月には経済産業省の「近代化産業遺産」に選ばれた。
波が侵入しないようパッキンがついた重いドアから灯台の中へ。古びた食堂や寝室など、86年まで海保職員が交代で泊まり込んでいた名残もある。幅40センチほどの狭い階段を上って9階部分に着くと、ガラス張りの部屋の中央で巨大なレンズが輝いている。足元には、米軍機の機銃掃射で開いた穴も残っていた。
初点灯時のランプは石油の白熱灯だったが、今は少ない電力で強い光が出せるメタルハライドランプ。波力発電と太陽光発電で動力の大半をまかなっている。運転状況は無線送信で把握でき、今では45日間隔の点検で済むという。