首都直下地震や大阪の上町(うえまち)断層帯地震など都市災害の発生が懸念される中、マンションぐるみで飲料水や非常食を備蓄したり、耐震診断を受けたりしているのはそれぞれ約2割にとどまるなど、マンションの減災に向けた取り組みは進んでいない現状が、全国の都市圏を対象に読売新聞社が行った調査で明らかになった。
東京、横浜、大阪、京都、神戸、広島、福岡など10都市を対象に、総戸数が100戸以上の大規模な分譲マンションの管理組合に昨年11月、防災への取り組みを尋ねる質問用紙を配布。139棟から回答を得た。
電気や水道が使えなくなる事態に備えて、水や食糧をマンション全体で備蓄しているのは22%。回答したマンションの階数は平均17階建てで、エレベーターが止まれば、物資の調達などに階段を何度も往復する負担を強いられる。
マンションの耐震策については、診断の受診率(予定を含む)が20%、補強工事の実施率(同)が8%だった。戸建て住宅に比べ、耐震診断・補強への行政の助成制度が十分でないことが遅れの一因らしい。
名古屋以西を「西日本」とし「東日本」と比較すると、スコップや医薬品、担架など救助活動のための資機材を用意しているマンションは、東が61%に対して西が24%など、全般に東で備えが進んでいた。
(2010年1月15日 読売新聞)