白鵬が大鵬以来の2度目30連勝/初場所

<大相撲初場所>◇6日目◇15日◇東京・両国国技館

 大本命が早くも単独トップに立った。横綱白鵬(24=宮城野)は東前頭3枚目北勝力(32)を一方的に寄り切って、初日から6連勝。無敗だった西前頭3枚目稀勢の里(23)が大関琴欧洲(26)に敗れたため、ただ1人の全勝となった。6日目での単独首位は、全勝優勝した08年名古屋場所に並ぶ自己最速。昨年秋場所7日目からの連勝も「30」とし、双葉山と大鵬しか達成していない「2度目の30連勝」となった。

 あまりの強さに、館内はため息に包まれた。白鵬は鋭く踏み込むと同時に、北勝力のもろ手突きを下から払いのけた。右差しで前に出ながら左も差すと、右かいなを返しただけで相手の体が浮く。腰を落として盤石の寄り。わずか1秒9の圧勝劇に「もろ手ですからね。走ったわけじゃないけど、ひとつの流れで」と満足そうに振り返った。

 かつて朝青龍の連勝を「35」で止めた相手を一蹴し、昨年秋場所から続く連勝を「30」に乗せた。自己記録は、昨年初場所から夏場所にかけての33連勝。2度目の30連勝に「ひとつの区切りということですね」とうなずいた。30連勝を2度達成したのは、双葉山と大鵬しかいない。偉大な名前に名を連ねたことを聞き「喜んでいいですか」と満面の笑みを浮かべた。

 充実期を迎えた1年は、いつものように始まった。元日。NHK紅白歌合戦の審査員を終えた足で、東京都港区の愛宕神社に向かった。同社は1603年、徳川家康の命により創建され、家康が天下統一した際に持ち歩いていた「勝軍地蔵菩薩(ぼさつ)」がある。同社関係者は「横綱は『ここに来ると運が上がります』と言ってくれました」と明かした。関脇だった4年前から続ける初詣で。同社への86段の階段は「出世の階段」と呼ばれ、白鵬も番付とともに駆け上がってきた。

 稀勢の里が敗れ、早くも全勝は1人だけになった。6日目の単独トップは、初の13日目Vを決めた08年名古屋場所と並ぶ自己最速になる。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)も「強い! 踏み込みいいし、そのあとも厳しい。スキがない」と目を細めるなど、早くも独走ムードが漂う。71年前に、双葉山の連勝が「69」で止まった1月15日。白鵬が強さを見せつけて、またひとつ歴史に名を残した。【近間康隆】

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