新薬師寺旧境内シンポで仮説様々

●「金堂内に仏像37体」「正面に幅50メートル階段」

 8世紀の大規模な金堂跡や乾漆像の破片が出土した奈良教育大(奈良市)構内の新薬師寺旧境内について、専門家が意見を交わすシンポジウム「よみがえる新薬師寺旧境内」が24日、同大で開かれた。金堂内には少なくとも37体の仏像が安置されていた可能性や、金堂正面に幅約50メートルもの階段がついていたとの説が明らかにされた。

 奈良教育大の山岸公基・准教授(美術史)は「新薬師寺金堂安置の群像と薬師信仰」と題して講演。「続日本紀」や「正倉院文書」の記述から、金堂内には7体の薬師如来像、それぞれの脇に日光・月光両菩薩(ぼ・さつ)像計14体が安置されていたと紹介。さらに十二神将像と四天王像があり、少なくとも計37体の仏像があったのでは、との考えを示した。薬師如来は坐像(ざぞう)で高さ約210センチ、両菩薩は約280センチとみられるという。

 正倉院文書から菩薩像は粘土で作る塑像とみられているが、調査で見つかった乾漆像片から「薬師如来は乾漆像だったのだろう。小さな断片だが、研究に新たな光を当てる発見だ」と述べた。

 奈良文化財研究所の清水重敦・景観研究室長(建築史)は、発掘調査で分かった柱跡などから金堂の復元案を示した。金堂の建物は幅約60メートル、奥行き約16メートル、高さ約13・2メートルと想定し、「横幅が広く、屋根が低い、非常に異例な建物だった」と話した。

 金堂正面には幅50・8メートルの階段が設けられたとし、安置された仏像と関係する儀式のために作られたのではないか、との考えを示した。

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