今から約300年を遡る江戸時代、山形県の最上川沿いの地方は、特産の紅花や米を、京や江戸に送ることで莫大な富を得た。その繁栄ぶりは、大阪の商人の町・堺と並び称されるほどだったという。
京、江戸に紅花などの特産品を送り届けた船は、華麗な都の文化や流行を積んで戻った。紅花で染めた織物や仏像、それに金糸銀糸や紅縮緬(べにちりめん)の十二単をまとった雛人形などが運ばれ、酒田や鶴岡などの裕福な家に飾られた。現在も、この地方の旧家には、当時の貴重な雛人形が大切に保存されている。
その中から特に選ばれた雛人形が、3月3日までの期間限定で、東京の目黒雅叙園に展示されている。
会場となっている目黒雅叙園「百段階段」は、99段にも及ぶケヤキ造りの階段がある木造の建物。昭和10年に建てられたもので、東京都の有形文化財に指定されている。
階段廊下の南側に連なる7つの部屋は、それぞれに個性的で、江戸文化の様式美に彩られた天井絵や欄間の華麗さは見る者を圧倒する。通常は非公開の施設だが、雛人形の展示期間中は一般に公開されている。
写真の雛人形は山形県酒田市の加藤家に伝わる大型古今雛で、男雛の高さが43センチもある。江戸時代後期に造られたもので、これまで門外不出であった。このほかにも伝統的な立雛や享保雛など、様々な人形、雛道具が展示されている。
日本海側の酒田、鶴岡と、歴史的な縁で結ばれた京、江戸文化の、華麗な美の競演を堪能できるイベントだ。
開催期間:1月29日~3月3日
開催時間:10時~18時(最終入館17時30分)限定ナイトツアーも開催。17時30分~20時(食事付き見学、事前予約制)
会場:目黒雅叙園東京都指定有形文化財「百段階段」。東京都目黒区下目黒1-8-1
入場料:1500円
問い合わせ:03-5434-3140 (10時~18時 目黒雅叙園営業部)
詳細は、http://www.megurogajoen.co.jp/event/hinamaturi/index.html(情報提供:WEBサライ)