虐待昨夏から激化か 自宅から泣き声 寝屋川1歳死亡

 大阪府寝屋川市で、1歳10カ月の岸本瑠奈(るな)ちゃんが虐待を受けて死亡したとされる事件で、傷害致死容疑で逮捕された父親で無職の憲(あきら)(26)と母親の美杏(みき)(27)の両容疑者は、昨年夏から虐待を本格化させた可能性があることが、捜査関係者への取材でわかった。

 府警捜査1課によると、瑠奈ちゃんは1月27日に病院に運ばれ、あごの骨折のほか、ほおや唇、鼻、頭部、太ももや背中などに多数のあざやすり傷が見つかり、古いもので1~2カ月前の傷だった。捜査関係者によると、当時の自宅マンションの複数の近隣住民が「昨年夏から岸本容疑者宅で怒鳴り声と子どもが泣く声が激しくなった」と証言。今年に入ると、壁をドンドンたたく音や物が壊れるような音もするようになったという。

 府警の調べで、両容疑者の4人の娘のうち、ほかの3姉妹には目立った傷は確認されておらず、府警は瑠奈ちゃんだけが虐待され、昨年夏ごろからエスカレートしたとみて調べている。

 マンション所有者の女性は朝日新聞の取材に対し、「昨年9月、瑠奈ちゃんとみられるおむつをした女児が、4階の階段踊り場に座り込んで大声で泣いていた」と話した。女性は児童相談所などへの通報はしなかったといい、「今思えば、虐待を食い止めるチャンスだったかもしれない」と悔やんだ。

 一方、府警や寝屋川市によると、昨年7月に市の保健師が美杏容疑者と瑠奈ちゃんと面接した際、体重測定すると、平均(約10キロ)より少ない約7.5キロだった。今年1月の病院搬送時には6.2キロへと減っていた。

 搬送時に意識不明だった瑠奈ちゃんの口の中には食べ物が残っていた。両容疑者は府警に対して「肉まんを食べさせた」「前日までよく食べていた」などと説明していたが、実際にはあごを骨折して間もない時期で、満足に食べられない状態だったという。府警は、昨年夏以降、両容疑者が瑠奈ちゃんに食事を十分に与えなかった疑いもあるとみている。

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