オーナー制で活路探る 野洲の「魚のゆりかご水田」

琵琶湖の魚の生態系を守る稲作りをしている野洲市の「須原魚のゆりかご水田協議会」が、水田のオーナー制を昨年から始め、湖の環境保全と魅力ある農業経営の両立を目指している。今春は企業と大口契約を初めて結び、オーナー田が拡大。農家は「農業支援が社会貢献につながると企業に認められるよう努めたい」と意気込んでいる。

 オーナー制は、有機農法や減農薬の稲作りをしている農家が販路拡大のために取り入れている。協議会は、水田が生態系の保全に役立つ点をアピールし、オーナー制を導入。1区画100平方メートル当たり管理委託料を含む3万円を契約者からもらい、コメ30キロを提供し、田植えから稲刈りまでの農業体験会や自然観察会を開く。

 昨年は家族ら個人による契約が5区画だった。今年は、団体企業の福利厚生事業の代行をする大阪市内の会社が16区画を契約し、個人契約の2区画と合わせ計18区画に増えた。この会社は会員向けの農業体験イベントに水田を活用する。担当者は「まだ知られていない稲作で面白いと判断し、契約を決めた。参加者には自然と食を見直すきっかけになれば」と話す。

 協議会の堀彰男代表(61)は「企業が関心を示してくれたことは大きな前進。環境に配慮しながら、地域を活性化できる農業経営を目指したい」と語った。

 (林勝)

 【魚のゆりかご水田】 琵琶湖の生態系を守るため、フナやナマズ、コイなど在来魚が卵を産み、稚魚が育つ場所として水田を活用する。魚が水田と湖を行き交うように水路に階段状の魚道をつくり、除草剤や化学肥料の使用も抑える。2006年に始まり、水質保全にも役立ち、県と国が経費を補助。昨年までに21カ所、計111ヘクタールの水田で実施された。

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