大会10日目が終わり、欧州強豪国の不振が目立つ。主要メディアに踊る「欧州の危機」の見出し。一方で、南米チームは順調に勝ち点をあげ、くっきりと明暗がわかれている。アフリカ大陸初のW杯決勝トーナメントは南米を軸に繰り広げられそうだ。
前回覇者のイタリアは2引き分け。過去3度の優勝を果たしているドイツは1勝1敗、そして、得点王候補のルーニー率いるイングランドも2引き分け。欧州サッカー大国は格下とされていたチームに勝ちを取りこぼし、どの国も一次リーグ敗退のがけっぷちに追い込まれている。
華麗な“シャンパンサッカー”で1998年優勝、前回準優勝を果たしたフランスはチームの内紛で、すでに一次リーグ敗退が濃厚。首脳陣に反旗を翻したFWの柱、アネルカの強制帰国は、サッカーという枠組みからはずれ、同国で大問題となっている。
優勝候補にあげられたスペイン(1敗)、ポルトガル(1引き分け)も苦戦しており、順調に優勝への階段を上がっているのはFIFAランク4位で、日本と同組のオランダだけだ。
英有力紙テレグラフは、イングランドの戦いぶりを「最悪」としながら、この傾向は欧州の伝統強豪国にも伝播し「恥辱にまみれている」と指摘。主要通貨ユーロの危機にひっかけて、「Europe in crisis(欧州の危機)」の見出しを掲げて、「ピッチ上での活気は経済の活気と複雑に結びついている」と論じているほどだ。
一方、南米勢5チームのこれまでの成績は7勝2引き分けで黒星は一つもなし。W杯優勝経験国のブラジル、アルゼンチンはともに2勝で絶好調で、大会の中心となっている。古豪ウルグアイも1勝1引き分けでチームに勢いがある。成績だけでなく、南米チームは攻守にすきがなく、質の高いサッカーを展開している。
過去、南半球では南米で4度W杯が開催され、いずれも南米勢が優勝している。いまのところ、このジンクスは引き継がれそうな状況にある。
21日のH組スペイン-ホンデュラス戦。試合結果によっては、決勝トーナメント1回戦でブラジルvsスペインの組み合わせが実現し、優勝国を決めるうえで重要な一戦になりそうだ。