本田、勝利導く「無回転」=鮮やかFK、アシストも〔W杯ハイライト〕

前半17分だった。日本にFKのチャンス。本田が軽く左足をボールに当てるようにけると、無回転のボールがゴール左に飛んだ。デンマークのGKソーレンセンも両手を投げ出して横っ飛びしたが、ボールは緩い弾道のまま左ポスト際に吸い込まれた。決勝トーナメント進出を懸けたデンマークとの直接対決の、先制点を決めた。
 第1戦のカメルーン戦での決勝ゴールに続き、今度は今大会では決まりにくいとされてきた直接FKを鮮やかに決めた。加えて、守備にも奔走。すべての力を、いかんなく発揮した。
 今大会は、経験のなかった1トップを任された。守備的布陣の中で、迫力を欠く攻撃。岡田監督の「欧州の選手と対等にできる体力を生かし、ゴールに絡むプレーを」という期待を背負った。
 それに見事に応えたのは、駄目押しの3点目の場面。大久保の縦パスに抜け出し、ゴール前の岡崎に折り返してアシストした。「あれを決めようと思わないところが精神的に未熟なところ。ストライカーにはなれないでしょう」と笑いつつも、「FWらしくなってきた気がする。前に誰もいない景色に慣れてきた」。手応えを深めた。
 強気な発言で知られる男も、初のW杯では試合が迫ると口数が減り、報道陣の前を無言で素通りする姿も目立った。「弱い自分がどんどん大きくなる」という。そんな不安を振り払うため、「僕は、自分の精神面をコントロールしている」と本田。自分との戦いにも打ち勝った。
 今季はオランダ・リーグからロシアのCSKAモスクワへ。欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)でゴールを決めた。日本を決勝トーナメントに導き、自らもまた一歩、世界の一流選手への階段を上った。(ルステンブルク時事)

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