【関西てくてく歩き隊】和泉国コース光明池~松尾寺

10月31日16時25分配信 産経新聞

 ■色づく秋 心は古代へ- 古墳、田園、ミカン畑…歴史と自然満喫

 取材担当地区のひとつ、大阪府和泉市で11月15日、ウオーキングイベント「2008和泉国古代史遊ing-光明池から松尾寺へ 歴史と伝説を歩く」が開催される。普段は公共交通機関やタクシーで訪れる地区だが、歩いてみたらどんなだろう。行程約10キロをめぐってみることにした。

 イベントのスタート地点は泉北高速鉄道・光明池駅近くにあるダイエー光明池店前の広場。そこから、ゴールの和泉市いずみの国歴史館までを、色づき始めた山あいなどをコースにマイペースで歩き、泉州の豊かな自然と悠久の歴史を満喫しよう。

 周辺が商業ビルやマンションなどで囲まれ、買い物客が集う広場を出発し住宅街を抜けると、すぐに昭和11年に灌漑(かんがい)用に造られた光明池が眼下に広がった。岸辺は一部が遊歩道に整備され、池の周回距離は約4キロにおよぶ。現在は堤防補強工事中のため水量は少ないが、最大貯水量約370万トン時で水深約24メートルと湖並みだ。池名は近くで誕生したと伝わる奈良時代の光明皇后にちなんでいる。周辺は「大阪緑の百選」に選ばれ、気持ちのいいエリアだ。

 遠くに見える岸のほとりに住宅が並んでいるところがある。水辺の景色を日常から楽しめるなんて少しうらやましい。遊歩道ではカップルや家族連れ、ジョギングする男性らがのどかな風景に溶け込んでいた。森に囲まれた遊歩道を進み、ドングリの実が、いくつも転がり、秋を実感させてくれた。

 遊歩道は住宅街に入っていく。通り抜けると池の南端に架かる長さ157メートルの光明池大橋が出現した。美しいアーチ型の橋は歩行者専用だが、つり橋でないため揺れることはない。途中で足を止め、下を眺めると、水量はほとんどなく、両わきに緑の木々が広がり、あふれる自然に心癒やされるだろう。

 光明池を後にすると、道路沿いに和泉市特産の温州ミカン畑が見えた。「まだ酸っぱいかな」と思いながら進むと家族で稲刈りの真っ最中。秋の田園風景が広がった。

 鳥居が出迎えてくれた奈良時代創建という春日神社に着くと、拝殿で初宮参りをしている着物姿の母親に抱かれた赤ちゃんはスヤスヤと夢心地。近くには「家族みんなが幸せに暮らせますように」などと書かれた絵馬が並び、「袖振り合うも多生の縁」と、赤ちゃんの健やかな成長を願った。そういえば、11月15日は七五三だ。境内には多数の古墳が残る。

 槇尾川に架かる黒石大橋を歩き、横に梨本池を通過すると、7世紀の白鳳時代に創建されたという名刹(めいさつ)・松尾寺に到着した。境内裏に立つ府天然記念物に指定されている高さ約15メートルのヤマモモの木が、参拝者を見守る。荘厳な金堂で手を合わせ、山門の上に納められた文殊菩薩と下の仁王像2体が下界の慌ただしさを忘れさせてくれた。

 このあと、芸術の秋を堪能できる和泉市久保惣記念美術館を訪れると、特別展「香炉-東アジアの香りの文化をたどる」が11月末まで開催中だ。香炉は香りで不浄を払うとされる仏教で重宝される器。国内をはじめ、中国、朝鮮などで作られた古代から近世の香炉約150点を紹介している。色づく日本庭園も注目だ。

 さあ!ゴールの和泉市いずみの国歴史館までもうすぐだ。住宅街を抜け、桃山学院大学と隣接する歴史館の階段を上がった。ここでは、近くの和泉黄金(こがね)塚古墳(国史跡)から出土した銅鏡「卑弥呼の鏡」など約150点が展示される「和泉黄金塚の時代」が12月7日まで開かれている。いにしえの時の流れを感じながら、館外に出るとセンチメンタルな秋の夕暮れが迫っていた。(も)

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 ≪ガイドブック≫

【和泉国古代史遊ing】和泉市、同市教委、産経新聞社などでつくる歴史ウォーク推進実行委員会が11月7日まで参加者を募集。午前8時半に同市室堂町のダイエー光明池店前広場に集合、同9時にスタートする。大阪市立大大学院の栄原永遠男教授(古代史)と仁木宏准教授(中世史)が同行して要所で、詳しい歴史などを説明する。松尾寺では両先生がミニフォーラムを開き、寺史を解説。解散は午後3時半ごろ。参加無料で小雨決行。当日の申し込みもできる。申し込みは参加者全員の住所、氏名、年齢、電話番号を記入したハガキまたはファクスで、〒594-8501 大阪府和泉市府中町2の7の5 和泉市教育委員会文化財振興課「古代史遊ing係」(ファクス0725・41・0599)へ。問い合わせは同課(TEL0725・41・1551)。

【松尾寺】松尾川支流の東松尾川沿いにある大阪府和泉市松尾寺町の山あいに建つ。鎌倉幕府、南朝、室町幕府の祈祷(きとう)所として繁栄して、寺領7000石が与えられたが、戦国時代に織田信長に攻められ、寺は棄却された。江戸時代初めに豊臣秀吉を父に持つ秀頼が再建した。所蔵する陀羅尼経2巻は国の重要文化財、再建時に移設された金堂は府文化財に指定。旧境内の松尾寺バス停横の樹齢約700年、高さ約40メートルのクスノキも府文化財になっている。

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【てくてくガイド】

 ◆“一歩先のエコをめざして”パナソニックセンター大阪見学と紅葉の大阪城散策 集合は11月2日午前9時半、JR大阪城公園駅。コースは大阪城公園駅~パナソニックセンター大阪~大阪ビジネスパーク~青屋門~極楽橋~大阪城天守閣~豊国神社~大手門~京橋駅。参加費無料。雨天決行。問い合わせは京橋駅(TEL06・6352・0056)。

 ◆秋深まる金剛山へ 集合は11月9日午前9~10時、近鉄忍海駅。コースは忍海駅~国見城跡~転法輪寺~葛木神社~金剛登山口バス停~河内長野駅。参加費無料。小雨決行(荒天の場合は12月14日)。問い合わせは南海テレホンセンター(TEL06・6643・1005)。

 ◆紅葉の名刹・観心寺と延命寺を訪ねて 集合は11月13日午前10時、近鉄・南海河内長野駅。コースは河内長野駅~長野公園~市立郷土資料館~くずの口バス停~観心寺~延命寺~美加の台バス停~廃線跡~南海・美加の台駅。参加費一般500円。雨天決行。昼食、雨具など持参。問い合わせは大阪府歩け歩け協会(TEL06・6359・7025)。

 ◆豊中勤労者山岳会公開ハイキング「紅葉の武田尾~大峰山」 集合は11月16日午前8時半、JR武田尾駅前。コースは武田尾駅~桜の園入口~あかまつ展望所~安倉山~大峰山への合流~武田尾駅。参加費500円(交通費自己負担)。雨天中止。同12日までに申し込む。問い合わせは御旅屋(おたや)さん(TEL06・6848・2471)。

 ◆お伊勢さんへの道「伊勢本街道 第2回相可の宿から城下町田丸へ」 集合は11月22日午前9時20分~10時20分、近鉄松阪駅北口。コースは松阪駅~相可バス停~相鹿上神社~広小路~青木製菓~浄土寺~商家大好庵~常夜燈~土羽茶屋~伏拝坂~牛尾崎池~玉城橋~熊野街道分岐~宇治山田駅。参加費無料(バス代840円必要)。雨天決行。問い合わせは近鉄名古屋イベント係(TEL059・354・7007)。

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