11月12日17時9分配信 紀伊民報
白浜町の白良浜で部分的に黒ずんだ砂が見つかった問題で、県は11日、住民有志の要望で砂浜6カ所を重機で掘って変化を調べた。昨年9月にもほぼ同じ場所を掘っている。住民有志は「前回より汚れが進んだように感じる。今年は台風の直撃がなかった。一時的な変化であったかどうかも含め、長く見守る必要がある」と定期的な観察の重要性を強調した。県は「帰って前回の写真と比べてみたい」と話した。
昨年6月に白良浜の波打ち際付近の海の底を手で掘ったところ、浜の南北両端から百数十メートルの区域で黒ずんだ砂が見つかり、町と県が2007年度に続き08年度も原因を調べている。
今回、掘ったのは階段護岸から5メートルほど離れた所と波打ち際から数メートル離れた陸部で、浜の中央部と北側、南側の3カ所ずつ計6カ所。深さは80~100センチ。県、町と住民の計約20人が参加し、町は砂のサンプルを採取した。
真っ黒な砂は出なかったが、海に近い方では砕けた貝殻や細かい砂利が集まった部分があり、うっすらと黒く変色した所もあった。階段護岸近くでは、土の汚れが染みついたように砂が茶色く見える部分が目立った。
住民有志の一人、鈴木喜徳郎さん(69)は「前回は1・5メートル掘った所もあった。今回は1メートルで同じような汚れを感じた。陸側の汚れが顕著で、なぎさ側も前回の方が白っぽかったのが、前回の写真と比較してよく分かる」と話した。
この日は波打ち際付近の海の砂は調べなかったが、町建設課によると、今夏の調べで浜の南北両端と中央部でも黒ずんだ砂を確認したという。
夏に頻繁に白良浜周辺の海域に潜っている鈴木博之さん(72)は「海底では黒色層の分布域が確実に広がってきている。また、浜の北端から百数十メートルにわたり、波打ち際から3メートルほどの深さの所で、長さ十数センチから数十センチの石がたくさん見られるようになった。昨年にはなかった光景だ」と話している。
県と町は本年度内にも調査結果をまとめたい考えだが、砂を調べている町は「分析結果によっては、さらに調査が必要になる場合もある」としている。県も海底地形については継続調査を検討しているという。