11月13日17時55分配信 産経新聞
奈良市高畑町の奈良教育大構内で見つかった奈良時代の新薬師寺金堂とみられる大型建物跡について、同大は13日、新たに東西に続く遺構が出土したと発表した。基壇の東西規模はさらにひと回り大きく、基壇上の建物の幅は世界最大の木造建築である現在の東大寺大仏殿を2メートルしのぐ約59メートルと推定。また新たに見つかった化粧石の配列から、基壇に約52メートルの大階段が取り付けられていたことも判明した。建立した光明皇后の強大な力を伝える伽藍(がらん)の壮大さを改めて裏付けた。
遺構は現在の新薬師寺の約150メートル西に位置し、当時の平城京の東側にあたる。これまでに基壇南端で凝灰岩の化粧石・延石(のべいし)や、人頭大の地固め石を詰めた柱穴4基などが出土していたが、今回新たに、遺構の西側で南北に並ぶ柱穴2基が出土。さらに東側でも、基壇最下部を覆う化粧石・地覆石(じふくいし)を東西約4メートルにわたって確認した。
これにより基壇の全体規模は東西約68メートルで東大寺大仏殿とほぼ同じ。南北は約28.5メートルになるという。
また、新たに出土した地覆石(幅約40センチ、高さ30センチ)は、これまでに確認されていた延石列より約2メートル後方に位置。この配列から同大は、基壇の前に階段が設けられていたと推測。基壇の高さは推定約2メートルで、位置関係などから幅約52メートルにわたる階段が、「七仏薬師像」が安置された可能性のある金堂内陣の幅に合わせ取り付けられたと想定されるという。
このほか、遺構南東部からは乾漆像の一部とみられる黒漆が施された破片などが出土した。
同大は、22日午前10時~正午に現場の一般公開を行う。
鈴木嘉吉・元奈良国立文化財研究所長(建築史)の話「ものすごく長い特殊な遺構の姿が見えてきた。七仏薬師像に合わせて正面に例のない幅の広い階段を取り付けたのだろう」