冬季ファミリーホーム:お年寄りが共同生活 「のくとい館」来年3月まで開設 /岐阜

12月6日12時1分配信 毎日新聞

 ◇「みんなで過ごせて何より」--高山・高根町
 足腰が達者な1人暮らしのお年寄りたちが冬の間、一緒に暮らす冬季ファミリーホーム「のくとい館」が、高山市高根町(旧高根村)にオープンした。雪に閉ざされる厳冬期、家の中にこもって孤立するお年寄りたちをなくそうと、高山市社会福祉協議会が来年3月まで実施する。元気なお年寄りたちがつらい冬を集団で過ごす施設は全国的に珍しく、他地域のモデルケースとなりそうだ。【奈良正臣】
 高根町は人口減のため小中学校がなくなるなど、過疎化が著しい。65歳以上が人口(約500人)に占める割合「高齢化率」は44・8%(11月1日現在)に達し、人口の半分が高齢者だ。
 山間地に点在する高齢者世帯では、お年寄りたちがわずかな年金で暮らしており、病気への不安を毎日感じながら家にこもりがちになり、健康状態の悪化が心配されるという。
 そこで福祉協議会は、1人暮らしのお年寄りの寂しさを解消し、過疎化で失われつつある絆(きずな)を取り戻すきっかけにしようと、国の地域支援事業の認定を受けて、冬季ファミリーホームを実施することになった。
 「のくとい」は、飛騨地方で「温かい」という意味だ。施設は、学校統廃合で使われなくなった旧教員住宅(鉄筋3階建て)を市から無償で借り、階段に手すりを取り付けるなどして使用。高根町中心地にあるため、診療所も近い。昼間は協議会職員が常駐。お年寄りたちは掃除や入浴、身の回りのことを自分で行い、朝夕の食事は1階の憩いの場で全員一緒に食べる。
 町内の1人暮らしのお年寄りや、子どもたちと離れて暮らしている単身者、2組の夫婦ら60~80代の計11人が来年3月末まで共同生活を送ることになり、1日から入居が始まった。
 お年寄りは「みんなで過ごせるのが、何よりもうれしい」と笑顔だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA