12月9日17時3分配信 毎日新聞
昨年暮れ、世界遺産・石見銀山遺跡(大田市)であった市道銀山線への落石事故で、通行止めになったままの市道復旧と落石防止に向けた第1次の本工事が始まった。工期は来年3月19日までの予定。大田市では、第1次工事完了後の4月から市道を全線復旧させたいとして、工事を急いでいる。
事故は昨年12月25日、同市大森町の市道銀山線に面した急斜面から、長さ110センチ、幅50センチの丁銀型の岩石が落下。けが人はなかったが、事態を重く見た市は現場を含む市道約150メートル区間を通行止めにし、斜面全体8ヘクタールの広範囲な調査と対策を専門会社に依頼した。
今回の工事は、文化庁の了解が得られたため先月から着手。崩落の危険がある岩を覆う竹や樹木を斜面5~8メートル、長さ120メートルにわたり伐採。危険な岩をロープネットで固定したり、亀裂のある岩に接着剤を埋め込み固める。その上で防護ネットを斜面上部に張り巡らせる。
この落石事故で、観光坑道龍源寺間歩に向かう路線バスは約1・3キロ手前で折り返し運転を続けていたが、公害問題もあり今年9月に廃止になった。また現在も、観光客は市道に沿う遊歩道に回り道を続けている。
遊歩道は、階段の上り下りを繰り返さねばならず、車椅子利用者らに不便を強いてきた。同市建設課の青戸将典主任技師は「これさえできれば、わざわざ階段に降りる必要がなくなる。できるだけ早く通行できるようにと思ってます」と話している。【船津健一】