1月10日10時19分配信 京都新聞
滋賀県栗東市の50代後半から60代の元会社員の男性グループが、江戸時代の「東海道名所図会」にも登場する同市の金勝(こんぜ)山の「震岩(ゆるぎいわ)」への道づくりに取り組んでいる。スギが林立する山中にあるため近づけず、隠れた旧跡になっていた。険しい坂に階段を刻む作業に汗を流している。
約20人でつくる「栗東ふぁざーず倶楽部(くらぶ)」。ウオーキングや料理教室などを楽しんでいたが、何か地域に貢献する活動をと市観光物産協会と相談、震岩の存在を知った。
震岩は縦約1・5メートル、周囲約6メートルの巨岩。733年に聖武天皇の勅願で東大寺の初代別当、良弁僧正が創建した金勝(こんしょう)寺の正面参道脇にあったとされるが、いつしか参道が使われなくなり、山中に隠れてしまったという。
「東海道名所図会」には「金勝山震岩」と記載され、数10人の力でも動かないが、身を清めると指先で揺らぎ動くと書かれている。歌川広重の浮世絵にも登場する。
林道から岩まで約50メートルあり、傾斜のきつい場所に間伐材を使って階段を整備し、道づくりを進めている。月2回、のこぎりやスコップを持って集まり作業に取り組んでいる。春の観光シーズンまでに完成を目指す。
同倶楽部の武石務さん(63)は「サラリーマン生活が終わり、地元の歴史を学ぶ中で岩の存在を知った。由緒ある場所を広める力になれば」と話す。