野人有馬 海山で鍛えた豪脚「階段上り」笑顔でぶっちぎり

1月12日10時42分配信 西日本スポーツ

 第1クール最終日を迎えた新人合同自主トレに“野人”が現れた。ドラフト4位の有馬翔投手(18=日南学園高)が11日、西戸崎室内練習場近くの大嶽神社で恒例の「階段上り」で脅威の脚力を披露。身長174センチながら108段の階段を3本、坂道ダッシュ5本を圧倒的なスピードで駆け抜け、山や海に囲まれた環境ではぐくんだ驚異の身体能力を見せつけた。

■同期苦痛も「楽しい」

 174センチの小柄な「野人」が寒風を切り裂いた。有馬の豪脚がルーキーの「聖地」大嶽神社の急階段で爆発だ。最後までリズミカルに駆け上がり、笑顔でゴール。坂道ダッシュでは「あれっ、ここまで? 」と物足りなそうにゴール地点のさらに上を見上げた。ラスト1本は、一人で頂上まで突っ走った。

 大学、社会人からやってきた同期たちが苦痛に顔をゆがめた「地獄の階段上り」も、有馬には苦にならない。宮崎・日南市で過ごした日南学園高時代、学校の裏山や大堂津海岸の砂浜を駆け回って脚力を培った。「日南にはああいう山道がいっぱいある。楽しいです。下半身には自信があります」と余裕の笑みを浮かべた。

 高校の練習では「中崎か僕のどちらかが先頭に立って走っていた」。西武にドラフト1位で入団した同級生の中崎に少しでも差をつけようと、入学直後から山道で走り始めた。おかげで球速が増し、スタミナを支える回復力も手に入れた。

 サッカー界で「野人」の愛称を持つ元日本代表FW岡野雅行も、足腰の強さには定評があった。野犬を振り切ったこともある快足は、自宅前にあった48段の階段を毎日上り下りして生まれたという。有馬も同じようなトレーニングで抜群の脚力を身に付けた。

 ずばぬけた素質は折り紙付き。「関節が柔らかく、筋肉の付き方もいい」と評した小川スカウト部長は、中崎、ヤクルト1位の赤川(宮崎商)のライバル左腕と比べ、有馬の潜在能力は一番と認める。

 群を抜く潜在能力を備える18歳。だが、現状に満足するつもりはない。メディカルチェックで指摘されたインナーマッスルの弱さを克服するため、チューブトレーニングに取り組んでいる。「金(無英)さんに教えてもらいました。(トレーニングは)部屋で30分ほど。ああいうのは練習でするもんじゃない」ときっぱり。見えない努力を怠らない「タカの野人」は、開幕1軍を目指して猛ダッシュする。
 (丹村智子)

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