軍事から介護まで!人の限界を超える「パワードスーツ」の最前線

1月16日10時4分配信 japan.internet.com

近未来を描いた SF 映画やアニメの世界には、人間の身体能力を増強させる「パワードスーツ」と呼ばれるアイテムがよく登場する。まるで夢のような話だが、今、そんなパワードスーツが現実ものとなってきている。

本田技研工業は階段の上り下りをアシストするスーツ「体重支持型歩行アシスト」の試作機を発表しているほか、筑波大学大学院システム情報工学研究科の山海教授は、人間と機械の融合複合分野として「サイバニクス(Cybernics)」の領域を研究しており、その成果のひとつとしてロボットスーツ「HAL」を発表している。

・Honda、「体重支持型歩行アシスト」の試作機を公開 – 本田技研工業
・ロボットスーツ HAL – 筑波大学大学院 山海研究室

今回は、軍事から介護まで人間をサポートする「パワードスーツ」の最前線に迫ってみよう。

■パワードスーツの歴史とテクノロジーの進化
パワードスーツとは、どういうものなのか。パワードスーツはどのようにして誕生したのだろうか。これまでの歴史をみてみよう。

●パワードスーツとは?
「パワードスーツ」とは、文字通りに人間の能力を強化するためのスーツ。人体に装着することで驚異的な力を得たり、戦闘能力を高めたりすることができる。

●小説の世界から生まれたパワードスーツ
世界初のパワードスーツには諸説あるが、アメリカの SF 小説家 Robert Anson Heinlein 氏が1959年に発表した SF 小説「宇宙の戦士」に登場する架空の強化防護服の呼称が「パワードスーツ」だった。

歩兵に戦車並みの装甲、ゴリラも容易に倒せる力などを持たせることを目的として開発された装備という設定だ。

●現実世界ではじめてのパワードスーツ
現実世界で初のパワードスーツは、General Electric が1961年に開発した「ビートル(Beetle)」とされている。ただし、「ビートル」は人間が乗り込むタイプなので、厳密には「パワーアシスト機器」というものとなる。

日本では、同様の機器としてテムザックの実用型レスキューロボット「援竜」がある。

・実用型レスキューロボット「援竜」 – テムザック

■パワードスーツの種類とその技術
パワードスーツにはどのような種類があるのだろうか。代表的なプリンターとその技術を簡単にまとめてみた。

●軍事用パワードスーツ
米国防総省高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency)は、兵士の身体能力を向上させるパワードスーツ「Exoskeleton」の開発を進めている。Exoskeleton を装着した兵士は100kg の荷物を運びながら、マラソン選手よりも速く移動ができるという。

・Defense Advanced Research Project Agency(英文)

また、同局はマサチューセッツ工科大学に資金提供を行い、下肢外骨格を開発するプロジェクト「BLEEX」を進行させている。BLEEX は運動能力を支援するためのパワードスーツで、兵士が重たい荷物を運ぶ作業をアシストしてくれる。

・BLEEX Project(英文) – UC Berkeley Human Engineering Laboratory

●介護の世界にロボットスーツ
HAL とは、Hybrid Assistive Limb を略した造語であり、人の身体能力を拡張・増幅することを目的として開発されたロボットスーツだ。HAL は身体の側面に装着する外骨格タイプのスーツで、人間の各関節部分にパワードユニットが取り付けられている。

人間が筋肉を動かそうとするときに発生する微弱な生体電位信号を皮膚の表面から読み取り、HAL に内蔵されたコンピューターにより、パワードユニットが人間の動作をアシストして動く仕組みだ。これにより、重たい荷物でも無理なく運ぶことが可能となる。

HAL の応用分野としては、医療福祉分野におけるリハビリテーション支援。具体的には、身体が思うように動かない人への自律動作の支援や介護に使用する。また工場などでの重作業支援や、災害現場でのレスキュー活動などへの応用が期待されている。

SF 小説の中の話として登場したパワードスーツは、軍事利用への開発から始まり、介護への応用が期待される分野へと発展してきた。今後、パワードスーツが身近になれば、我々の生活もより暮らしやすくなるであろう。

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記事提供:IT ライフハック

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