◆全国高校サッカー北海道予選最終日 ▽決勝 旭川実1―0室蘭大谷(25日・札幌厚別公園競技場) 旭川実が1―0で室蘭大谷を下し、00年以来9年ぶり2度目の選手権切符を手にした。前半25分にDF宮本恭兵(2年)が奪ったゴールを死守し、総体予選に続き道内2冠を達成。1年生だけで合宿、専属コーチも配置するなど、指導スタッフの充実でMF近藤将人(3年)ら主力を3年計画で育てたことも実を結んだ。今夏の総体初戦では、優勝した前橋育英に完敗。再び立つ全国舞台を前に富居徹雄監督(37)は「もっとベースアップしないと通用しない」とメンバー白紙も示唆した。年末の本大会までの約2か月でさらなる底上げを狙う。
タイムアップの笛が9年ぶりの歓喜のスイッチになった。前半に挙げたDF宮本の1点を一丸で死守。両手を突き上げ、ベンチ前でスタッフと抱擁した旭川実・富居監督は「うれしいの一言ですが、前とその前(07、08年)の選手たちに申し訳ない気持ちもある」と2年連続、厚別の舞台で散った先輩たちの無念も思いやった。
選手も気持ちは同じだった。一歩一歩、リベンジの階段を上ってきた。07年準決勝は室蘭大谷、08年決勝では北海の前に敗北。1年時からメンバー入りするMF近藤は「過去2年分の悔しさがあったので」と3年目の結実に感無量。ボランチとしてMF串橋主将とともにピッチを無我夢中で走りまくった。今大会、その両校を厚別で破って、たどり着いた頂点だった。
栄光の裏には3年計画の緻密(ちみつ)な強化策と、たゆまぬ努力があった。「1年生はボールワーク。戦術などは2、3年生から」(富居監督)。基本技術を磨くため、1年生には斎藤達弘コーチ(26)が専属でついた。入学直後には合宿もこなし、一体感を植え付けた。反復練習の日々につまらなさもあったが、コンサドーレ旭川U―15出身の近藤は「攻撃しかできないような選手だった自分が、監督から『勘違いするな』と言われ目が覚めた」。指揮官の一喝で足元を見つめ直すと、地道な技術習得、筋トレでの体づくりで集大成への土台をつくった。
これで総体予選に続き道内2冠。旭実のゴールはまだ先にある。年末の本大会に向け、富居監督は「9年前は勢いで選手権に出場した感じだった。今度はしっかり準備して臨む。まだまだ、ウチは下手くそ。スタンドを含めて、選手も選び直し」とメンバー白紙をにおわせた。今夏の総体初戦は優勝の前橋育英に完敗。休みなく練習を再開する旭川実が、リベンジの舞台を全国に移す。
(2009年10月26日10時31分 スポーツ報知)