貴乃花親方が二所ノ関一門を離脱 初場所後に理事に立候補へ

大相撲の貴乃花親方(37)=元横綱貴乃花=が8日、東京・両国国技館の相撲教習所で開かれた二所ノ関一門の一門会で正式に離脱を表明した。あらためて初場所後の役員改選で理事に立候補する決意も口にした同親方は、「無所属で出る? そうなります。応援してくださる方がいてここまで来た」と語った。投票になった場合は10票が当選ラインと言われる理事選に、自身を含めた7票を基本に立候補する。勝算を問われると「ハハハハ」と笑って受け流したが、一門外からの得票があれば当選も可能だ。

 午後1時。一門会が開始されてからちょうど2時間。貴乃花親方が1人で教習所の階段を下りてきた。その奥でまだ一門会は続いている。ただごとではない。そんな状況の中で貴乃花親方は落ち着き払って口を開いた。「あらためて立候補させていただきますと言った。一門の総意ではない。お世話になりましたと言って出てきた。一門から出て選挙に出ます」。一門離脱を正式に表明した。

 1998年に候補者の一本化に反対し、高砂一門を破門された当時の高田川親方(現在は千田川親方)の例はあるが、離脱を申し出た例はこれまでにない。そこまでして貴乃花親方は出馬の意志を貫き通した。

 なぜ今なのか。「制度としてある(議決権を10人の理事が持つ)以上は立場や役割がある」と貴乃花親方。協会を変えたい。そのためにはどうしても議決権のある理事にならなければならなかった。

 放駒親方、二所ノ関親方、鳴戸親方の擁立を考えている二所一門は、開始からずっと貴乃花親方の説得にあたった。選挙になれば109人の評議員による投票。28票ある二所一門からは3人の当選者を出すのが限界。4人となると1人7票となり共倒れする危険性が出てくる。

 ある親方は「みんながエッと思った。中をゴチャゴチャにして、一門から出て行くとは。もう一期(2年)待てば理事になれるのに。今出るのはマイナスだ」とその行動に疑問を投げつけた。そんな説得に対し「わたしは選挙に出ます」と言い続け、開始から2時間後に席を立った。

 「説得されたけど、わたしの気持ちは変わりません。支持してくれる人がいますから。1人で出るわけじゃない」と貴乃花親方。「今まで以上に相撲を認知してもらうことが、下の世代にできるのではないか」。そんな理想を同部屋の常盤山親方、音羽山親方のほか、大嶽親方、二子山親方、阿武松親方、さらに新たに間垣親方を加えた6人がバックアップする。「勝算? ハハハハ」と笑って受け流したが、現時点で一門外からの数票を確約されているとみられ、当選する可能性は高い。

 ただ、一門を出たからにはいばらの道が待っている。若手親方から「戻ってほしい」という声も挙がる一方で、「もう戻らなくてもいい。こういう形で出たら無理だ」と言う親方もいる。一門ごとに振り分けられる職務分担などでも冷や飯を食べさせられることにもなる。一門として貴乃花親方の処遇は保留。離脱を正式に受理したわけではないが、初場所10日目に行われる一門会には「出ないと思います」。貴乃花部屋に戻った親方はあらためて決別を宣言していた。 (岸本隆)

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