ロボット走れ 街の足

人が乗り込む搭乗型のロボットを、つくばの街で走らせたい――。公道での走行実験を可能にする「特区」の指定を、つくば市が国に申請中だ。2月中旬までに正式決定される見込みだが、市によると、国からは前向きな感触を得ているという。認可されれば全国の自治体で初めてとなる。(今直也)

 立ったまま乗り、体重を移動させるだけで自由自在に動き回ったり、階段を上ったりできるタイプや、座って乗る車いすタイプなど、搭乗型移動ロボットにはさまざまな種類がある。環境への負荷が少なく、近距離の移動としては自動車に代わる交通手段として期待されている。

 つくば市の産業技術総合研究所は2008年秋、空気のクッションを利用して乗り心地を良くし、障害物に近づくと自動的に止まるセンサーを組み込んだロボットを開発、「マイクロモビリティ」と名付けた。立ち乗り型の電動二輪車「セグウェイ」を販売するセグウェイジャパンや、トヨタ、ホンダなど自動車メーカーも開発を進めている。

 同市は昨年11月、国が募集する構造改革特区に応募、「搭乗型移動ロボット(モビリティロボット)の公道走行実証実験特区」を提案した。暮れには、「2010年度中の結論を目指す」という回答を、国から得ているという。

 搭乗型のロボットは、車両としてはまだ認められておらず、道路交通法などの規制で公道を走行することができない。特区と認定されて初めて、公道での実証実験が可能となる。

 ロボット関係の特区としては、搭乗型ではないが、03年に福岡県と福岡市、北九州市が国の「ロボット開発・実証実験特区」に認定され、商店街などでの実験を展開した例がある。

 実験場所としては、つくばエクスプレスの「つくば」と「研究学園」両駅周辺の半径2キロの地域の歩道を、市は検討中。地域の防犯パトロールなどに、ロボットを活用したい考えだ。市によると現在、産総研やセグウェイジャパン、日立製作所などと交渉し、特区になった場合の実験準備を進めているという。

 市原健一市長は15日にあった記者会見で、「低炭素社会の実現や地域の安全を守るということを、国としても最優先課題と位置づけており、つくばでの実証実験も意義あることとして、認められるのではないか」と話し、特区の実現に期待を寄せている。

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