鉄道用避難はしごが好調 神戸の2社が連携、開発

神戸市内の2社と兵庫県立工業技術センターが連携し、鉄道車両用の避難はしごを開発、国内外で採用が広がっている。災害や事故で急停止した場合に、車外に脱出するシーンを想定し、手すり付きの階段状に設計。安全性や利便性が評価され、2005年以来、台湾や国内の車両向けに約2700台を納めた。関係者は「阪神・淡路大震災を経験した神戸から安全を発信できればうれしい」と話している。

 鉄道車両の設計を手掛ける「テクノエース」(神戸市兵庫区)と、建築用はしごなどのメーカー「特殊梯子製作所」(同長田区)。

 両社によると、鉄道車両には避難はしごが備えられていない場合が多い。あっても後ろ向きに1人ずつしか降りられないものや、滑り台タイプが一般的という。

 テクノ社は、台湾新幹線を製造した川崎重工業(同中央区)の依頼を受け、02年ごろから使いやすい製品の開発に着手。04年に伸縮はしごの製造技術を持つ特殊梯子に声を掛け、同センターの助言を得ながら1年半ほどで完成させた。

 普段は折りたたんであるが、伸ばすと階段状になる。どこで停車しても使えるよう、車両の出入り口などから下げて長さや角度を調節できる仕組みにした。

 材料には主にアルミ合金を使い、重さを抑えながら一定の強度を確保。手すりを備え、約3分で100人程度が降りられるという。

 台湾新幹線のほか、国内約20社の新幹線や在来線用などに納入。鉄道以外にも転用を検討する動きがあり、ニーズはさらに増えそうという。

 両社は「神戸にはものづくりの高い技術があり、力を合わせればできることがあると示せたのでは。積極的に売り込みたい」と意気込んでいる。

(佐伯竜一)

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