試合に勝つための要素は積み上げていったはずだった。だが、前日、5本塁打を放ち、11点を奪った強力打線が、わずか1点。阪神がまた接戦を落とした。
先発下柳は7回4安打1失点。粘投も報われず、ロッカールームへ続く階段で悔しさを押し殺した。「何もありません。お疲れさま……」
下柳の好投だけではない。三回、左中間への打球を中堅浅井が好捕。五回は鳥谷が遊撃右への強いゴロをさばいた。さらに七回には一塁線を破ろうかという当たりをブラゼルが横っ跳び。再三の好守も勝ちにつなげられず、和田打撃コーチは「今日は、いい時のチェンだった」と分析した。
確かにチェンは最速150キロを超え、変化球にも切れがあった。だが、今季は打線が看板のはず。この日も崩れた中継ぎ陣に救世主でも現れない限り、どんな好投手も打ち崩していかなければ、首位の背中は遠のいていく。
(佐藤毅)
阪神・真弓監督「下柳はよく投げていたし、バックもよく守ったんだけど、チェンが今日は良かった。久保田は悪くないが、甘いところへ投げてしまったね」