ASIMOの技術、NYの博物館に 歩行支援する装置

【ニューヨーク=山川一基】ホンダの人型ロボット「ASIMO(アシモ)」の技術を応用した歩行支援装置が、ニューヨークにあるクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館に展示されることになった。「人間の健康に貢献するデザイン」と認定されたためだ。

 装置は、ASIMOが二足でバランスをとる技術を応用。装着すると、柔らかいいすに座っているように感じ、足への負担が減る。工場での作業や外科手術など、長時間立って仕事をする人に適しているという。階段の上り下りなども楽にできるため、坂の多い観光地でも活用が期待されている。ホンダは自社工場内で試験的に使っており、数年以内の商品化を検討している。

 同博物館は来年1月9日まで、建築や健康機器など優れたデザインの工業製品を集めた展覧会を開催。出展をホンダに求めた。デザインを手がけたホンダの輿石健さんは「機械にも柔らかなイメージを求める日本人の感覚が認められてうれしい」と話している。

ふた2万個集め「ハイジ」…兵庫県立大付属高

途上国支援 文化祭で訴え…業者に売却 ワクチン代に

兵庫県上郡町光都の県立大付属高(熊谷哲校長、479人)の生徒たちがペットボトルのふた約2万個を使い、アニメ「アルプスの少女ハイジ」を表現した「エコキャップアート」を作り、14日に始まった同高の文化祭で披露した。ふたの売却益で発展途上国の子どもたちにワクチンを送る「エコキャップ運動」の一環。生徒たちは「世界の子どもを救える楽しいリサイクルがあることをPRしたい」と話している。展示は15日まで。

 作品(縦3・2メートル、横4・5メートル)は校内の階段をキャンバスに見立て、自然を象徴するハイジが森で笑っている図柄。赤や白、緑など色違いのふたを両面テープで段差部分(高さ15センチ)に張り付けており、見る角度によってハイジの身長が伸び縮みするほか、光の加減で色調も変わる。ゴールデンウイーク明けから全生徒が色の分別や張り付けなどの作業にかかわり、10日かけて仕上げたという。

 昨年秋、生徒会(15人)が楽しみながらエコキャップ運動を進めようと発案。生徒1人から5個ずつ計2000個程度を集める予定だったが、今年4月にふたの回収を呼び掛けたところ、付属中の生徒約120人も加わり、1か月足らずで予定の10倍に当たる約2万個が集まったという。

 作品は解体後、リサイクル業者に売却され、約10人分のワクチンとなって発展途上国に送られるという。生徒会長の福岡玲央(れお)さん(17)は「多くの人がリサイクルやごみの減量を考えるきっかけになれば。来年以降もこの運動が続いてほしい」と期待していた。

(2010年5月15日 読売新聞)

向かいのホームに友人 線路横断 女子高生はねられ死亡…南海高野線

13日午後3時55分頃、大阪府河内長野市の南海高野線千代田駅で、反対側のホームに行くため線路に下りていた同府和泉市の高校1年の女子生徒(15)が、同駅を通過する極楽橋駅発難波駅行きの快速急行(6両、乗客約200人)にはねられ、死亡した。この事故で、上下計275本が最大56分遅れ、約14万人に影響した。

 河内長野署の発表によると、女子生徒は同級生と一緒に上りホームにいたが、下りホームに同じ高校の別の生徒らがいたため、2人で線路に下り、複線を横断。その後、元の上りホームに戻るため、2人で再び線路に下り、はねられたらしい。同級生は無事だった。

 同級生は「初めて線路を渡ったが、以前、同じように渡る人を見たことがあり、大丈夫と思った」などと話している。また、事故当時ホームにいた別の生徒は「線路に下りる生徒が後を絶たないため、教諭がホームまで注意しに来ることがあった」と説明しているという。

 南海電鉄によると、千代田駅に駅員はいるが、ホームには配置されていなかった。2人が下りた現場のすぐそばには、ホームをつなぐ渡り廊下に通じるエスカレーター付きの階段があった。

(2010年5月14日 読売新聞)

性暴力受けた女子中学生が墜落死

15歳の女子中学生が家出中の少年らから性暴力を受けた後、マンションの23階から落ちて死亡した。12日、ソウル冠岳(クァンアク)警察署によると、中学2年のAさんは子どもの日の5日午後9時ごろ、ソウル舎堂洞(サダンドン)地下鉄7号線ナムソン駅付近の路地で家出中の少年L(14)とY(15)に捕まった。

Lらは「お前はこの前友人のバイクを盗んだグループの一人に似ている」と言ってAさんを脅した。Aさんは「そんなことはしていない」と答えた。しかし2人はAさんの携帯電話を奪い、「それならバイクを盗まれた友達に会って確認しよう」と言って奉天洞(ボンチョンドン)のマンションに連れて行った。

目的地に到着したLはYに見張りをさせ、Aさんをマンション23階の機械室の非常階段に引っ張って行き、性的暴行を加え、財布を奪った。Aさんはこの日午後10時45分ごろ、Lがしばらく離れている間、非常階段の窓から落ち、その場で死亡した。

警察は自殺とみて調査を始めたが、、その過程で、Aさんが自ら命を絶つ理由はないと判断した。警察はAさんの携帯電話の内容とマンション周辺の防犯カメラの映像分析で、Lらが犯人である可能性に注目した。警察は翌日未明、LとYを検挙した。

警察の関係者は「Lは、Aさんは逃げようとしてマンションから落ちたようだと話しているが、他殺の可能性も排除せず、うそ探知機などを使って捜査している」と述べた。この関係者は「Lが奪ったAさんの携帯電話をマンションの屋上の出入り口にきちんと置くなど、自殺に見せかけようとした痕跡がある」と話した。

警察は12日、強姦致死と強盗強姦などの容疑でLを拘束した。Yは共同恐喝容疑で書類送検し、余罪を追及している。

鶴見川の女性遺体 住民不安『早く解決を』 発見現場付近 捜査員、遺留品を捜索

横浜市鶴見区の鶴見川で十日午後、袋に入った女性遺体が見つかった事件は、殺人、死体遺棄事件と断定された。横浜水上署捜査本部は遺体が川岸から遺棄されたとみており、周辺住民らは「早く解決してほしい」と不安の声を漏らした。 (水野健太)

 十一日午前十一時半ごろ。雨の降る中、県警の船舶二隻が鶴見川の現場付近に到着。捜査員数人が約一時間半にわたり潜水し、川底に遺留品などがないか捜索した。

 現場周辺は古い住宅や高層マンション、アパートが点在する住宅地。かつては漁師町で、川には釣り船や作業船など約五十隻が係留されている。

 現場脇の川岸には、誰でも階段で堤防を下りて行くことが可能で、岸にはロープが張られているだけ。近くの釣り船店経営の男性(70)は「早朝は釣り船が多数往来するが、夜は人通りが少ない。すぐ前に国道があるので、少々の騒ぎでは、周りの人でも気づかないだろう」と話した。

 遺体を目撃した無職の男性(74)は「水面からあおむけになった人の顔が見えたので、近くを歩いていた男性に通報を頼んだ。びっくりした」と振り返った。

 五十年以上、現場近くに住む主婦並木正子さん(85)は「昔から水死体が見つかったことはあったが、全部、自殺だったと聞いた。こんな事件が起きるとは」と不安げな表情で話した。

沖縄の夜 ロック熱いぜ

 沖縄本島中部の沖縄市。中心部はコザと呼ばれる、極東最大の米空軍嘉手納基地の門前町だ。米国の占領時代から米兵相手のライブハウスが軒を並べる。なかでも人気なのがロックだ。その文化に浸ろうと、週末の夜、街へと繰り出した。

 1人では不安なので、地元の音楽プロデューサーの徳山義広さん(55)に案内役をお願いした。

 すると、まず向かったのは両替所。多くのライブハウスはドルで支払える。為替相場に関係なく「1ドル=100円」程度が定着しているため、円高の今ならドルの方が割安なのだ。

 夜ともなると、多くの米兵が街へ出てくる。英語が飛び交い、飲食店でもドル札が通用する。米国の街と見まがうような光景だ。

 ライブハウスは歩いて数分の範囲に立ち並び、まばゆいばかりのネオンの光を放っていた。

 最初に入ったのは「JACK NASTY’S」。階段を下りて地下の薄暗いフロアに入る。カウンターの中から上半身裸の男性が迎えてくれた。

 この人こそ、沖縄ロック界の大御所「かっちゃん」こと川満勝弘さん(65)。コップの替わりに客の靴にハブ酒を注いで飲み干すなど「伝説」のパフォーマンスで知られた有名人だ。

 ビールを注文すると、グラスではなく、小瓶が出てきた。ラッパ飲みをしながら話を聞く。

 ――ロックの魅力ってなんですか。

 「英語の歌詞なんか分からなくても、ドラムのビート(振動)に揺れる体験を共有できるところかな」

 ベトナム戦争のころは、泥沼化する戦場に赴く直前の若い米兵たちが、恐怖を紛らわせるために激しいビートに酔いしれた。

 演奏が気に入らないと、飲みかけのビール瓶をステージに投げつける米兵もいたという。そんな「修羅場」も昔の話。いまではガイドブックを携えた観光客でも楽しめるという。

 コザのライブハウスは入店料(チャージ)不要の店が多く、次から次へと店をはしごしやすい。「せっかくコザに来たなら、いろんなバンドの音楽を聴いて欲しいね」と徳山さん。

 実力派で知られる3人組オヤジバンド「JET」のライブが見られる「Live Music Bar JET」。ヘビーロック中心の「CLUB FUJIYAMA」……。どこの店に入っても、客の大半は米兵ら外国人だった。

 ここは本当に日本なの? そんな感覚を抱きながら、いろんな店でライブを聴くと、あっという間に日付が変わっていた。

 青い海と青い空。それだけが沖縄の魅力じゃない。そう感じた夜だった。

住宅用火災報知機 県内普及低調3割程度

火災の早期発見や被害拡大阻止に向けて火災警報器の住宅への設置が2006年6月に義務付けられた。県内では、既存住宅については市町村の条例で来年5月末までが期限となっているが、普及は進んでいない。期限が近づく中で、消防関係者は、早期設置の呼びかけを強化している。(藤井裕介)

   ◆

 5日、新潟市中央消防署員らが、新潟市中央区の「スーパーセンタームサシ新潟店」前で、来店客に住宅用火災警報器の設置を呼びかけた。義務化まで約1年となり、少しでも多くの市民に警報器を設置してもらおうと緊急キャンペーンを実施した。

 足を止め、警報器の説明などを受けていた同区の会社員の男性は「まだ火災警報器をつけていない」という。来年5月末までに設置しなければならないと説明を受けた。「まだ期限まで余裕があるし、罰則があるわけでもない。結局は自分のことではあるんだけど……」

 06年6月に改正消防法が施行され、義務化された。来年6月以降は、寝室や階段に設置しなければならないが、罰則はない。

 総務省消防庁によると、昨年12月時点での県内の住宅用火災警報器の推計普及率は、29・7%で、全国平均(52・0%)を大きく下回る。県消防課や新潟市消防局などは、まだ期限がある▽安いもので一つ約3千円でも1世帯では複数必要になり、費用がかかる▽中越沖地震からの復興策が優先され、防災関係者が火災警報器の普及にまで手が回らなかった――などと背景を説明する。

 消防本部の管轄地域別の推計普及率をみると、最も低いのは加茂地域の9・4%。加茂地域消防本部は、「推計値の取り方にもよるが、人員も少なく各世帯にしっかりと設置を呼びかけられなかった」という。消防団の協力で各世帯に設置を呼びかけるなどして今年4月時点では「30%ぐらいにはなった」というものの、100%に向けて「住民に必要なものと判断してもらうため、各世帯への呼びかけを続けるしかない」と話している。

 各消防本部などでは普及策として、町内会などでの共同購入を呼びかけている。価格を抑えられ、「悪質な訪問販売の被害防止にも役立つ」(新潟市消防局)という。

 新潟市中央区の「東堀前通1・2番町町内会」では、07年に、町内会で共同購入した。会長の阿部信一さん(69)は、「我々の町内のように、住宅が密集している地域では、1軒だけつけていても意味がない。みんなの家につけてすぐに火災が発見されれば、燃え広がらずにすむから」と話す。共同購入にあたっては、町内会費から購入世帯に1千円を補助し、7割近い世帯が共同購入に応じたという。阿部さんは「火災警報器の設置は、自分のためではなく、お互いのため。そこを皆さん理解してくれてよかった」と話している。これまで火災警報器が作動するような事態にはなっていない。

 ここに来てホームセンターなどでの住宅用火災警報器の売り上げが増える動きが見られるという。新潟市中央消防署が緊急キャンペーンを行ったスーパーセンタームサシ新潟店でも、4月の売り上げは前年同期比で20%ほど伸びているという。荒木信雄店長は、「県内の義務化まで『あと1年』と呼びかけている効果でしょうか」とみて、今後は「来年の3~4月ごろの『駆け込み』に向けて商品が足りなくならないように、在庫を増やすようにする」。売れ筋は煙を感知すると警報音を発する約3千円の商品という。「今が底値ではないか。これから他県でも設置義務化の時期になり、商品がなくなれば価格が上がることもあるかもしれない」とみている。

 悪質な訪問販売などへの注意も必要だ。県消費生活センターによると、県内の消費生活センターへの住宅用火災警報器の購入についての相談件数は、ここ数年、10件弱で推移している。義務化を前に「訪問販売なども増える可能性がある」とし、「ちょっとでもおかしいなと思ったらすぐに消費生活センターに相談して」と話している。

痴漢多発の埼京線、防犯カメラ設置車両では1件もなし 警察の集中取り締まりで1都3県で77人検挙

警視庁と埼玉、千葉、神奈川の1都3県の警察が4月15日~21日の7日間に実施した電車内や駅構内での集中取締週間に、痴漢や公然わいせつなどの現行犯で78件、77人が検挙されたことが6日、警察庁のまとめで分かった。このうち逮捕者は49人。容疑者の中には、車内で警戒中の捜査員が1人の被害者に対する犯行を確認した直後、再び同じ車内で別の被害者に対して犯行に及んだ者も1人いた。

 犯行の状況では電車内での痴漢が58人で最多。次いでエスカレーターや階段など駅構内での盗撮が11人、車内での盗撮が4人、車内での強制わいせつが3人、車内での公然わいせつが1人。

 検挙の路線別分布では、京王線とJR中央線がともに6件で最も多く、次いでJR埼京線が5件。西武新宿線とJR総武線、山手線、東京メトロ千代田線が各4件-など。

 埼京線は、痴漢多発路線としてJR東日本が対策に乗り出し、車内防犯カメラを設置した車両を編成しているが、5件はいずれも防犯カメラがついていない車両で検挙されており、警察庁では「(犯人が)防犯カメラの設置車両を避けたのではないか」と分析。防犯カメラに一定の効果があるとみている。

 容疑者を年代別でみると、30歳代が24人▽40歳代が21人▽20歳代が16人▽50歳代が9人▽10歳代が5人▽60歳代が2人-の順。最年少は16歳、最年長は62歳だった。検挙者のうち48人は会社員だった。

 検挙された77人のうち、痴漢や強制わいせつでの検挙歴がある者は37・7%にあたる29人で、平成21年の全刑法犯中に占める再犯率(32・6%)を上回っており、痴漢・強制わいせつ犯罪の再犯性の高さが裏付けられる格好となった。

 被害者77人のうち26人が高校生。17人が会社員、14人が大学生だった。年齢では、15歳~19歳が40人で突出。痴漢被害の大半が、10歳代後半の高校生・大学生に集中していることを示す結果となった。