エレベーター通路伝わった熱気で?作業員焼死

高知市本町の建設中の17階建て分譲マンション「シティタワー高知」で起きた火災で、高知署は3日、見つかった遺体の身元は連絡が取れなくなっていた高松市元山町、建設作業員林繁樹さん(25)と判明したと発表した。

 死因は焼死。エレベーター通路の7階と8階の間で止まっていた作業用ゴンドラ内で倒れており、逃げ場がなかったらしい。一方、現場の作業員らによると、助かった作業員の多くが外側に組まれた足場を伝って逃げたという。同署や市消防局はこの日、焼損の激しい1、2階部分を中心に現場検証を行った。

 同署の発表によると、林さんは出火当時、エレベーターを設置する作業をしていたらしい。エレベーターの通路はほとんどの階で昇降口が閉まった状態で、燃えた1、2階からの熱気が煙突のように上ってきたと見られる。火元とみられる1階で内装工事をしていた作業員の1人は「溶接作業中に火が出た」と話しているといい、同署は出火原因を慎重に調べている。

 作業員らによると、現場にいた作業員約110人は、屋上に逃げ出したほか、多くがマンションの外側に組まれた作業用足場を伝って地上や隣のビルなどに逃げだしたという。13階にいた作業員の男性(44)は「黒煙が吹き抜け部分から瞬く間に上がってきて、内部の階段は降りられないと判断し、足場の階段に出た。足場がなければもっと犠牲者が出ていたはず」と声を震わせた。

 現場検証はこの日午前9時半から、同署や市消防局などの約50人が行った。通行人らは立ち止まって焼け跡を見上げていた。

(2009年12月4日10時39分 読売新聞)

金沢街道 古寺や洋館、歴史感じて

鎌倉の「金沢街道・寺巡り」を推す声が寄せられた。いくつもの寺があるなかで杉本寺、報国寺、覚園寺はいかが、とある。この辺りに行ったことはない。良い機会と思い、出かけた。

  JR鎌倉駅東口を出て直進、信号を渡って左へ、鎌倉警察署の角を右に入り、突き当たりを左へ進むと小町大路。鎌倉時代には武家屋敷と商家が軒を並べていたという。今は静かな住宅街の道だ。通り沿いに日蓮聖人の辻説法跡があり、妙隆寺では「鎌倉江の島七福神」ののぼりが風に揺れていた。

  交通量の多い道に出る。県道204号線の金沢街道だ。大きく右にカーブした街道を行くと、杉本寺の急階段の下に着く。足もとに気をつけながら階段を上る。緑のコケに覆われ、人の行き来でくぼんでしまったような風雪を感じさせる石段が現れた。脇の階段から本堂前に出る。護摩たきの最中で、読経が響く。「鎌倉最古の寺にふさわしく厳かで落ち着いた気持ちになれる」と推薦者が書く通りだ。小道を行けば見晴らし台のように目の前が開け、入り組む谷戸の形がよく見える。

  再び金沢街道を進み、「報国寺入口」とある信号を渡ると、「竹の寺」ともいわれる報国寺。人影さえ隠してしまうほど密生した竹林に圧倒された。びょうぶ絵に描かれるような虎が潜んでいそうだ。小石を敷き詰めた庭、目の前に迫るがけ、竹筒から流れ落ちる水の音。背筋をぴんと正されるようないかめしさを感じた。

  寺から少し先にある旧華頂宮邸へ寄った。昭和初期に建築されたしょうしゃな洋館の姿に、報国寺で感じた緊張感が解け、肩の力が抜ける。

  金沢街道を戻り、第二小学校の横を右に曲がって荏柄天神社(えがらてんじんしゃ)へ向かう道にはいる。川から二つ目の十字路を右に行くと突き当たりが鎌倉宮。鳥居の前を左へ進み、創建当時の姿を色濃く残すといわれる覚園寺を目指す。

  同寺では説明していただけるとあり、案内時間を待って境内へ。日光・月光菩薩(ぼさつ)を従えた薬師如来や十二神将が安置された薬師堂、人々が願をかけた多くの地蔵を納めた地蔵堂、罪人の身代わりに灼熱(しゃくねつ)地獄の炎で焼かれた黒地蔵……。12月初めには紅葉で庭は真っ赤に染まるという。ユーモアを交えた話は興味深く、仏像に手を合わせた人たちの思いが長い時を越えて伝わってくるような気がした。

  帰りは大塔宮バス停から鎌倉駅へ。時代を行き来する気分を味わった街道界隈(かいわい)の散策を終え、バスはにぎやかな21世紀の駅に着いた。

(文・景山明子)

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  県内在住の女性ライターが、皆さんから寄せられたお気に入りの場所を紹介します。

  =次回は17日付

 ◆◆ 寄り道メモ ◆◆

  ◇金沢街道◇ 鎌倉市雪ノ下と横浜市金沢区朝比奈町を結ぶ県道204号の金沢鎌倉線。鎌倉時代には金沢の六浦から鎌倉へ塩などを運んだとされ、「朝夷奈切通」は国の史跡。

  ◇旧華頂宮邸◇ 1929(昭和4)年建築の木造銅板ぶき3階建て。鎌倉市の景観重要建築物で、国の登録有形文化財。「日本の歴史公園100選」にも選ばれている。庭園の公開は午前10時~午後3時(10月~3月、4月~9月は午後4時まで)。月曜日と火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始は休み。建物内部は春秋に短期間公開。電話市都市景観課(0467・61・3477)。

  ◇鎌倉・長谷寺の紅葉ライトアップ◇ 6日(日)まで午後5時~6時(最終入場)。土、日曜日は午後6時半まで(同)。この時間に限り入山無料。電話長谷寺(0467・22・6300)。

大阪・中之島に巨大砂像 制作中の茶圓さん「大阪の人 驚かせたい」

ギリシャ神話の神々の巨大な砂の像の制作が、大阪市北区中之島の市立科学館北側広場で進んでいる。12日から中之島を中心に開催される「OSAKA光のルネサンス」(25日まで)の展示物の一つ。鹿児島県の砂像彫刻家の茶圓勝彦さん(48)が鳥取砂丘から運んだ砂を押し固め、像を削りだしている。茶圓さんは「砂でここまでできるのかと、大阪の人を驚かせたい」と意気込んでいる。

 会場に築かれた砂の階段の最上段ですでに姿を見せている時間の神「クロノス」の像は腕を組んで見下ろす。あごに蓄えた長いひげや背中の羽も砂でできている。

 茶圓さんは、平成11年にシンガポールで開かれた砂像彫刻世界選手権で、建造物が中心だったそれまでの常識を打ち破り、人物像を造って優勝。以来国内外の砂像イベントで活躍し現在は、鳥取市で開催中の「砂の美術館」のプロデュースを手掛けている。

 大阪では昨年も、同イベントで巨大砂像彫刻を制作したが、今年は昨年よりスケールアップし、1・3倍の200立方メートルの砂を使ってクロノスなど、4つのギリシャ神の像の制作を進めている。

 砂像制作ではまず、砂と水を混ぜて木枠に詰めてから、水を抜いて固い砂の塊をつくり、それを上からスコップや左官用のコテ、スプーンなどで削っていく。茶圓さんは「力を入れすぎると崩れてしまう危うさが砂像彫刻の魅力であり、また難しいところ。崩れないギリギリまで削る感覚が重要」と話す。

 完成すると、女神が横たわり天使が舞う、ギリシャ神話の物語が表現される予定だ。「クリスマスらしい、恋人たちが楽しめる物語のある像に仕上げるつもり。ライトアップで浮かび上がる表情の変化も楽しんでほしい」と話している。

ピラミッド型の謎/赤磐・熊山山頂付近

■60人、石積み遺跡見学

 全国的にも珍しいとされる、赤磐市の石積み遺跡「熊山遺跡」の見学会が28日、開かれた。参加した約60人は説明を聞きながら、ナゾに満ちた遺跡に見入っていた。

 同市奥吉原の熊山山頂付近にある同遺跡は、国の史跡に指定されている。高さ約3・5メートルで、石を階段状に3段積み重ねたピラミッド型。誰がいつ、どのような目的で造ったのかなど、詳しいことは不明といい、周辺の山中には30~40の石積み跡も残されている。様々な説があるが、現在は出土品などから奈良時代の仏塔という説が有力という。

 見学会は「熊山遺跡群調査・研究会」(出宮徳尚会長)が開いた。参加した岡山市東区の中西厚さん(75)は「石で造られているので古墳とは違うと思う。エジプトのピラミッドを思わせ、不思議です」。説明をした同会理事佐藤光範さん(79)は「ぜひ現地に来て、古代に思いをはせてほしい」と話していた。

 同会は会員も募集している。問い合わせなどは事務局(086・995・0245)へ。(保田達哉)

棚田保全の国際シンポ…神戸学院大ポーアイキャンパス

「天国への階段」とも呼ばれるフィリピン・ルソン島北部の棚田群の保全活動をテーマにした国際シンポジウム「フィリピン イフガオの棚田からのメッセージ~平和と自然をまもる」が28日午後1時半から、神戸市中央区の神戸学院大ポートアイランドキャンパスで開かれる。

 神戸ポートアイランドにキャンパスがある神戸学院大、神戸女子大、兵庫医療大、神戸女子短大による「ポーアイ4大学連携推進センター」のポーアイ安全・安心ステーションが主催。

 パネリストに、現地のイフガオ大学長や、国立フィリピン大教授を招き、2000年前から代々受け継がれてきた人々の暮らしを通し、平和や自然を見つめ直す。会場では、現地を昨年2月に訪れた神戸学院大防災・社会貢献ユニットの学生たちが撮影した棚田群=写真=も展示される。

 参加無料。定員320人。通訳付き。申し込み、問い合わせは同ステーション(078・974・4057)へ。

(2009年11月27日 読売新聞)

歴史受け継ぐ管弦楽部 【家と生きる】

◆山口市「旧制山口高校講堂」
 小雨の降る放課後。少し色あせ、どこか懐かしい水色の木造の建物に管弦楽部の生徒が集い、思い思いの音を奏で始めた。1922年に建てられ、文化庁の登録有形文化財にも指定されている旧制山口高校講堂(記念館)。江上嘉昭教頭は「歴史と伝統を感じ、自分もその中の一員であると生徒が感じることができる場所」と語る。

  近代日本を引っ張るエリート育成という使命を負っていた旧制高校。かつての生徒たちは講堂を「国を支える幹になることを誓う」との意味を込め「誓幹堂」と呼び、ここから社会へと巣立っていった。

  円柱と角柱で支えられ、安定感のある正面玄関や、左右対称に塔のようにせり出した屋根の外観には独特の風格がある。内装も、窓や欄干に施された幾何学模様の装飾など、随所に工夫を凝らしたつくりに。各地の旧制高校の建物に共通する様式だったという。

  戦後の学制改革後、しばらくは新制山口高校の卒業式の会場などに使われていたが、75年以降はもっぱら管弦楽部の練習場に。クラリネットを担当する部長の西村朋恵さん(17)は「長い間、色々な先輩がこの場所で演奏をし、自分たちも同じように楽器を吹いている。記念館と同じように自分たちが歴史を作っているといううれしさがある。管弦楽部だけが、ここで練習できるのも自慢です」

  部員たちは「20人以上は上がってはいけない」というルールがある2階部分も含め、階段や入り口、正面ステージなど好きな場所に散らばり、一心に楽譜に向かう。クラリネット、オーボエ、サクソフォン……。様々な音を講堂が受け止め、響かせる。

  「サウンドづくりには最高の場所。卒業生も含め、教室よりここで過ごす方が多いという生徒がいっぱいいる」と、顧問の縄田正規教諭は言う。
(青山直篤)

□■ 旧制山口高校講堂(記念館)■□
  旧制山口高は1919年に創設。22年に完成した講堂は木造2階建て、延べ面積約370平方メートルで、高さが約13メートルある。山口市中心部にある山口高校の正門を入り、左側に立つ。

ひと:石原裕子さん 「書の甲子園」で優勝した書道部顧問

「書の甲子園」として親しまれる第18回国際高校生選抜書展(毎日新聞社、毎日書道会主催)に、高校では珍しい平安朝のかなを基本とした作品を出品し、初の全国優勝に導いた。「例年以上にみんなが努力した結果だと思います」。部員33人と喜びを分かち合った。

 大学卒業まで漢字を学んだが、展覧会でかな作品を見て、「日本独自の文化で、細い線にも凜(りん)とした力強さがある」とひかれた。「若い世代に伝えたい」と埼玉県立松山女子高(東松山市)に赴任した00年、部員に勧めて全員で取り組むように。3年目に北関東地区で優勝、昨年は全国準優勝と階段を上ってきた。

 「何が課題かを自ら感じ、考えることが大切」。批評を求める生徒には、まず自分の意見を述べさせ、ほめて、やる気を引き出す。同時に人としてのマナーには厳しい。「細かな心遣いができない人に、線の太さなど微妙な加減は分からない。書は人間性の表れです」。書道への一般の関心を広げ、部員の協調性や連帯感を高めようと、音楽に合わせて書き、ダンスをする「書道パフォーマンス」も行う。

 来年の目標は、生徒たちが品格のある、今年以上の作品を書くこと。それには指導する自分も成長しなければ、と帰宅後も作品づくりや研究に取り組む。息抜きは愛車の運転だが、「運転中も生徒たちの顔が浮かんできます」。自分を信頼してくれ、書に地道に取り組む生徒たちに活力をもらう。【鈴木賢司】

 【略歴】石原裕子(いしはら・ひろこ)さん 「書の甲子園」で優勝した松山女子高書道部顧問。08年度、流派や所属団体を超え優れた書家を選ぶ「埼玉書道三十人展」に選出された。埼玉県熊谷市在住。49歳。

毎日新聞 2009年11月21日 0時00分

“古城や馬車” 冬の夜空彩る 太田でイルミネーション

 太田市上強戸町の北部運動公園で十八日夜、百万個の発光ダイオード(LED)を使った「おおたイルミネーション2009」の点灯式が行われ、古城や馬車をかたどった電飾や赤く彩られた階段などが夜空に浮かび上がった。

 式後にはウエディングセレモニーがあり、太田市内で勤務する新郎の平井辰徳さんと新婦の磯野真理子さんが、大勢の市民が見守る中、結婚式を挙げた。

 この公園(十九ヘクタール)の電飾は、市や商工関係者らを中心に昨年から実施。市は、公園が春のシバザクラなど四季折々の草花や冬のイルミネーションで新しい観光名所となることを期待している。

 来年一月三十一日まで毎日午後五時から同十時まで点灯する。入園無料。 (粕川康弘)

女性警官宅侵入の巡査長逮捕=「好意持ち、知りたくて」-千葉県警

女性警官宅に侵入したなどとして、千葉県警船橋東署は19日までに、住居侵入と公務執行妨害の疑いで、県警千葉東署地域課の巡査長苅田大蔵容疑者(37)=千葉市若葉区千城台西=を現行犯逮捕した。船橋東署によると、「好意を持ち女性のことを知りたかった」などと供述、容疑を認めているという。
 逮捕容疑は18日夜、同県船橋市の女性警官(28)の自宅マンションに侵入し、通報を受けて駆け付けた男性巡査(21)にスプレーのようのものを噴きかけるなどした疑い。
 船橋東署によると、女性はマンション最上階の4階に居住。同日午後9時55分ごろに帰宅した際、自宅の様子がおかしいことに気付き、部屋に入らず近所の交番に通報した。同署員2人が駆け付けたため、苅田容疑者はベランダから非常階段を伝って逃走。路上で取り押さえられた際、スプレーのようなものを噴きかけたという。(2009/11/19-08:56)

マージャン店火災受け、立ち入り検査

17日未明に浜松市でマージャン店が全焼して客4人が亡くなった火災を受け、池田市消防本部は同日、市内に8店舗あるマージャン店への立ち入り検査を実施した。うち4店舗が消防訓練を行っていなかったことが判明し、訓練の徹底を求めた。

 浜松市の火災は放火された疑いがあるため、この日の検査では放火対策を主に聞き取った。防炎加工したじゅうたんやカーテンを使用しているか▽たばこの吸い殻の処理は適切か▽階段に物を置いていないか――などを一つ一つ確認。市内のマージャン店の広さではスプリンクラーの設置義務がないため、唯一の消火設備となる消火器の管理状況を特に念入りに調べた。