ヤクルト増渕東京タワー階段590段駆け

1月5日9時53分配信 日刊スポーツ

 ヤクルト増渕竜義投手(20)が4日、同期の上田剛史外野手(20)と東京タワーを駆け上がり、プロ3年目となる今季への誓いを立てた。「いい練習になりました。今年はチームにずっと貢献できるよう頑張りたいです」と言うと、気持ち良さそうに額の汗をぬぐった。
 東京屈指の観光スポットへ、ジャージーにランニングシューズ姿で登場し、異彩を放った。地上150メートル大展望台までの590段の階段を、自主トレということで特別許可を得た中、遊び心一切なしの本気モードで挑んだ。「景色を見る余裕もなかった」と、わずか6分3秒で踏破した。
 大展望台内に設置されている、東京23区内で一番高い場所にあるという神社「タワー大神宮」で初詣でも行った。昨年は3勝3敗。プロ入りから2年間、同じ東京へ本拠地を置く巨人との相性は3試合登板して2敗と良くないことで「巨人には負けたくない」。チームの必勝祈願とともに、打倒巨人への思いも込めて手を合わせた。
 増渕にとっては、この日が東京タワー人生初登頂。昨年末から力を入れて取り組んでいる下半身強化の一環として“日本一制覇”を果たしただけでなく「精神的にも鍛えられました」と、幸先良い09年のスタートに笑みがこぼれていた。【松本俊】

伊勢神宮に66万7000人 三が日、各所にぎわう

1月4日11時47分配信 中日新聞

 正月三が日の県内はまずまずの天候となり、神社や行楽地は多くの人でにぎわった。
 伊勢市の伊勢神宮(内宮、外宮)は三が日の参拝者数が約66万7000人(3日午後5時現在)で、昨年に比べ約7万4000人の大幅増。当初見込んだ3日間の61万人を大幅に上回った。
 2月2日以降に始まる架け替えを控え、現在の内宮宇治橋で参拝できる最後の正月。それだけに仮橋で神域を後にする途中で立ち止まり、20年間の役目を終える宇治橋を背景に記念撮影する人もいた。
 正宮に続く階段には厚着をした初詣で客が押し寄せ、参拝の順番が来るのをじっと待っていた。
 伊勢市の二見興玉神社は三が日で昨年より約2万2000人減の約15万1000人が参拝。鳥羽市の鳥羽水族館の来館者数は約1万3000人で昨年より約1000人減ったという。
 志摩市の志摩スペイン村はエド・はるみさんら吉本興業の人気お笑いタレントを迎えた「カウントダウン・フィエスタ」を大みそかに開催。4日間で約4万3000人が訪れ、昨年より約2000人増えた。
 津市藤方の結城神社には三が日で5万4000人が参拝。例年の3万-5万人よりにぎわった。家族連れらが訪れ、拝殿で手を合わせた。境内には屋台が並び、参拝者はおみくじを引いたり、お守りを買い求めたりした。宮崎吉章宮司は「景気が悪いので参拝者は減るのではと思ったが、予想よりもたくさん来てくれた」と話した。
 桑名市のナガシマリゾートには、遊園地や温泉施設、なばなの里のイルミネーションなどに、昨年より5000人多い約10万人が訪れた。特に、ふわふわアトラクションが大集合した遊園地の正月イベント(5日まで)が大人気。担当者は「天気に恵まれたのが第一。“安近短”の傾向もあるのでは」と分析している。
 伊賀市西湯舟の伊賀の里モクモク手づくりファームには2、3両日で例年並みの3200人が訪れた。丑(うし)年にちなみ、モクモクのジャージー牛が登場する多彩なイベントがあり、乳搾り体験や牛乳を使ったアイスクリーム作り、牛がふんをする場所を予想する「ぷりぷりビンゴ」などが人気を集めた。

多良保育園 全役員の辞職決定 トラブルようやく終息へ

12月26日7時7分配信 西日本新聞

 太良町糸岐、多良保育園(園児123人)の新旧経営陣の対立に端を発したトラブルで、同園を運営する社会福祉法人「和順福祉会」の役員7人(理事5人、幹事2人)全員が辞職することが25日、分かった。園長以外の役員は辞意を表明していたが、24日の役員会で園長の27日付での辞職が決まった。保護者や園児を巻き込んだ一連の騒動は、ようやく終息に向かう見通しとなった。

 同園では、経営を退いた前園長と新経営陣の対立が激化。前園長支持派の所有地にあった通園階段が取り壊されるなどしたため保護者が反発し、役員全員の辞職を要求。9月には県が運営健全化に向け改善勧告をした。

 関係者によると、11月に仲介者を通じて新旧経営陣が和解交渉を開始。交渉は決裂したが、県が保護者の信頼回復措置を文書で回答するよう繰り返し求めたこともあり、役員全員の辞職が決定。25日の職員朝礼で園長本人が発表した。

 これにより、役員のうち6人が27日付で辞職。役員1人が旧経営陣との民事訴訟の判決が出る来年1月22日まで残り、仲介人や保護者とともに暫定的に園を運営。その後、新しい役員を決定するという。

 ある保護者男性は「決着の筋道が見えてほっとしている。子どもが伸び伸びと成長できる保育園に生まれ変わってほしい」と話していた。

【華流】香港女優セシリア・チャンが第2子妊娠?

12月25日20時16分配信 サーチナ

陳冠希(エディソン・チャン)のエッチ流出写真事件の被害者の1人となったことで休業中の香港女優、張柏芝(セシリア・チャン)。この騒動が原因で人気俳優の夫、謝霆鋒(ニコラス・ツェー)と離婚の危機に陥ったと噂されたが、今はすっかり落ち着き、かつてのおしどり夫婦に戻った様子。24日付中国紙はそのセシリアが妊娠した模様だと伝えた。

 陳冠希(エディソン・チャン)のエッチ流出写真事件の被害者の1人となったことで休業中の香港女優、張柏芝(セシリア・チャン、=写真)。この騒動が原因で人気俳優の夫、謝霆鋒(ニコラス・ツェー)と離婚の危機に陥ったと噂されたが、今はすっかり落ち着き、かつてのおしどり夫婦に戻った様子。24日付中国紙はそのセシリアが妊娠した模様だと伝えた。現在、妊娠3カ月で来年7月に出産予定という。

 報道によればセシリアは現在1歳4カ月の息子、ルーカス君に次ぐ第2子を出産することになり、彼女の母親も喜んでいるとか。ニコラスの主演映画『証人』のパーティーでもセシリアは一足早く会場を後にしたが、その時もお腹を暖め、かかとの低い靴を履き、ニコラスは彼女が階段などでけががないようにときっちり見送っていたという。

 ニコラスの父でベテラン俳優の謝賢(パトリック・ツェー)は「出産予定は来年の7月で、自分と同じ丑年の子供になる」と喜んでいたとか。報道内容が真実だとすれば、ファンが待ち望むセシリアの復帰は更に遠のきそうだが、事務所は妊娠を否定したとの報道もあり、果たして……?

※情報提供:東亜通信社 URL:http://www.toanews.com/

歳末清掃奉仕:恒例、始まる 初日、大垣市内の県立高4校25人が参加 /岐阜

12月25日13時2分配信 毎日新聞

 ◇きょうまで2日間実施
 大垣市内の高校生による恒例の「歳末清掃奉仕」が24日、スタートした。市社会福祉協議会の呼びかけに応じた32人が25日までの2日間、要望があった独居老人宅や障害がある老人宅を訪問、清掃奉仕する。
 24日は大垣桜高、大垣北高、大垣東高、大垣工高の県立4校から25人が参加。2~3人ずつに分かれて11軒の老人宅を訪問した。大垣桜高1年の日比裕香子さん(16)と豊永里奈さん(16)は、同市昼飯町の男性宅を訪問。部屋の中や階段の清掃、窓ガラスふきなどをし、皿などを洗った。奉仕のあとは男性の話し相手になり、男性はうれしそうに息子や娘の話をした。別れ際、男性は「ありがとう」と礼を述べた。
 2人は「何を動かし、何をどうしたらよいか分からなかったが、お年寄りが喜んでくれてよかった。来年も参加したい」と話していた。【子林光和】

精華女子短大の学生30人 視覚障害者の支援実習 福岡市・天神

12月25日7時7分配信 西日本新聞

 福岡市博多区の精華女子短大の学生が同市・天神で、視覚障害者が街を歩くときに必要な生活支援の実習をした。

 介護を学ぶ授業の一環で学生30人が、2人1組になって実施。アイマスクを着けた学生を、別の1人が手を引くなどして誘導し、地下鉄の乗降車、飲食店での買い物などを体験した。

 学生たちは、階段を上る際に声をかける一方、相手役は手すりをつかんでゆっくりと上るなど慣れない様子。アイマスクを着けて行動した福田真紀子さん(20)は「普段何げなく通っている道でも、見えないと、とても不安に感じました」と振り返った。

 角真由美講師(49)は、「人間は情報の約9割を視覚から得ます。目が見えない方が困っているときには、声をかけることが大切です」と話した。

リチャード・アッテンボロー、自宅で倒れて病院へ

12月24日10時20分配信 シネマトゥデイ

 『ガンジー』などの映画監督で『ジュラシック・パーク』の実業家ジョン・ハモンド役でも知られる俳優のリチャード・アッテンボローがロンドンの自宅で倒れ、病院へ運ばれた。

 現在86歳のアッテンボローは不整脈を患っており、倒れるのは今年2度目。夏に失神して自宅の階段から転倒し、それ以来、心臓にペースメーカーをつけている。今回、アッテンボローは倒れた際に頭を打って一時意識を失ったが、再び意識を取り戻し、現在の容態は安定しているそう。退院の予定はまだわからず、冬のホリデー・シーズンは病院で過ごす可能性もあるよう。

内藤ならいける38歳チャンプ/ボクシング

12月24日9時56分配信 日刊スポーツ

<プロボクシング:WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇東京・両国国技館
 内藤大助(34=宮田)が更新を続ける日本選手の世界王座最年長防衛記録は「ボクサー定年」を越えた38歳まで伸びる! V4達成に自信を深めた野木丈司トレーナー(48)が断言した。今回は34歳3カ月だが「あと2年、36歳まで体力は伸ばせる。それをさらに2年は維持できる」と、胸を張って強調した。
 裏付けは練習量にある。内藤はオーバーワークになりがちで、前回苦戦の原因となったが、今回はしっかりと休養をとるようにした。しかし、全体の練習量自体は増えているという。
 今回は「パワーマックス」という練習法を採用した。競輪選手用の自転車型トレーニング器具で、負荷の重いペダルをこぐもので、スピードスケートの清水宏保らも取り入れている。内藤の場合は2分間こいでから3メートル先のサンドバッグを30秒連打、これを5セットこなす。さらに恒例の階段ダッシュの特訓は、これまでの88段から山口戦前には253段の神社に場所を変えた。
 野木トレーナーは「次はもっといい内藤をお見せします」と断言し、その強化プランも決まっている。2月に鹿児島・徳之島で、野木トレーナーの恩師で女子マラソンの有森、高橋らを育てた小出監督が指導する豊田自動織機、アルゼの陸上部と合同合宿を敢行。内藤はまだまだ進化する。

向谷実氏が考える鉄道と音楽(前編)――発車メロディ3つのオキテ

12月24日9時23分配信 Business Media 誠

 かつてジリジリと乗客を急き立てた発車ベルが、心地よくお客様を送り出すメロディに変わってきた。発端は、乗客や駅周辺の人々からの苦情だった。各駅の発車メロディには、パターン化した曲や、親しみのある曲のアレンジ版などさまざまな種類がある。そんな発車メロディには、乗車を促し、注意を喚起するだけではなく、心地よさを演出するという役割も求められるという。

 発車メロディとは、そういった実用的な機能を求められる“鉄道向け実用楽曲”の1つといえる。本記事ではこういった実用楽曲の成り立ちと意義について、作曲家の向谷実氏に聞いたインタビューを2回に分けてお送りする。

 向谷氏はフュージョンバンド、カシオペアのキーボード担当として有名だ。現在は鉄道シミュレーションゲームの制作者、鉄道クイズゲームの監修者としても知られている。またゲームだけでなく、2007年にオープンした鉄道博物館のSLシミュレータや、富士通と提携して鉄道会社の乗務員訓練シミュレータなど、業務用シミュレータも手掛けている。最近では、作曲家としても鉄道に関わっている向谷氏。九州新幹線の発車メロディや車内放送メロディに続き、京阪電鉄の発車メロディを作曲して話題になっている。

 この京阪電鉄の発車メロディは「各駅のメロディをつなぐと1曲になる」という仕掛けが施してあり、京阪電鉄のサイトで試聴することができる(参照リンク)。2007年6月から京阪線17駅で使用されており、列車の種別と行き先で異なる4パターンがある。2008年11月には、発車メロディに加え、アレンジバージョンも含めて収録した音楽CD『京阪電車発車メロディコレクション』が発売された。

 向谷氏は発車メロディに対する強い理念を持っている。発車メロディは「ただベルがメロディになっただけではない」と話す。

●発車メロディのオキテ――その1「完結しない」

 「最初に発車メロディを作った路線は九州新幹線で、今回の京阪電鉄は2作目になります。京阪は都会の通勤電車なので数秒の短いメロディですが、最初に手掛けた新幹線は長かった。十数秒あるんですね。最初だし、この長さだと表現できることもいろいろあって、音楽的にもさまざまなチャレンジをしました。そのときに『発車メロディとはこうであるべきじゃないか』という、自分なりのセオリーができてきました」

 鉄道会社からはとくに、発車メロディに対して「こうしてほしい」という要望はなかったという。つまり、鉄道会社すら考えが及ばない“発車メロディのあるべき姿”を、作曲する立場の向谷氏は悟ったのだ。

 向谷氏が考える、発車メロディのセオリーとは何か?

 「電車に乗る前に楽曲を終結させないということです。電車に乗る人は、そこですべて終わっているわけではなくて、まだ何かをしている最中か、これから何かを始めるか。例え帰宅時であっても、今日1日のいろんなことを考えながら家路につくわけで、家に帰るまで移動は終わってないですよね。そんな気分で電車に乗る時に、終わった感じの音楽を聴かされるとがっくり来ちゃう、と思ったのです」

 都市を走る路線の発車メロディが“日常の音”なのに対して、“非日常”である新幹線のホームで流れる発車メロディには、求められるものは違うのだろうか。

 「新幹線に乗る時は、ビジネスでも旅行でも、ダイナミックな活動のためにワクワクしていることが多いはず。だから九州新幹線の発車メロディは、転調+転調+転調して終わらない感じ。そういう曲を作りました」

 発車ベルのように、危険喚起、注意喚起、お客様を急かすのではなく、ワクワク気分を盛り上げて、さあ乗ろう、という気分にさせる。スムーズな乗降を実現するという結果は同じだとしても、お客様の気分はどちらがいいか。

 「これは効果があったと思いました。だから、自分の駅メロディのセオリーは“完結しない”です。京阪電鉄の場合は、各駅のメロディをつないで1曲にするというチャレンジがあったので、終着駅については若干終わった印象もあります。でも、原則としては終わりにしない曲を作りました」

●発車メロディのオキテ――その2「単純音源を使わない」

 「発車メロディとしては、私の音はかなりゴージャスです。理由? だってその方が楽しいから(笑)。いま、ほとんどの駅で採用されている発車メロディは、電子音のシングルトーンです。オーケストレーションがない。だから単純でつまらない音になっている。もっとも、これはメロディを流す音響装置が古いせいで、複雑な音を再現できないからという事情もあります。でも設備の更新に伴って、改善は進んでいます。だから(自分が作る発車メロディでは)、できるだけいろんな音を出したい」

 京阪電鉄の発車メロディでは、ホームで使っている機器と同じ機器を用意して、作った曲を試聴したという。そこから曲の修正をかけていく。低音が割れないか、高音が耳障りに聞こえないか。

 「こんなに中音域を厚く作っても意味がないな、とかね。同じ路線の駅でもいろいろなスピーカーがあるので、最大公約数でここまで大丈夫、という音を研究しています。車内放送も含めて、ここまで作り込んでも大丈夫だな、というところで作っています」

●発車メロディのオキテ――その3“生音”と“手弾き”にこだわる

 京阪電鉄のプレスリリースによると、今回の発車メロディについて「駅を、通勤や通学、レジャーなど“生活の1シーン”ととらえ、これまでの発車メロディが目的としていた乗車督促とは一線を画し、一歩リードした駅環境の実現をめざしています」とある(プレスリリース、PDF)。確かに向谷氏の発車メロディは、聞いていて心地よい。

 「発車メロディはシンセサイザーなど電子楽器で作ります。ただし電子音に頼らずに、なるべく生音を取り込み、手弾きの部分を多くしています。人間が聴くんだから、もっと人間の感性を大事にしたいと考えているためです」

 人が心地よく聞ける音作り。それはおそらく、向谷氏の音楽制作すべてにわたる基本の考え方だろう。多くのファンに支持された、音楽のプロの言葉である。

 「シーケンサーを使うと、完全な16分音符、完全な音階、音量、音の長さで作曲できます。だけど、僕の曲は人間が弾いた音を使うから、それぞれの要素がちょっとずつ違う。できるだけ自分の感性を信じます。バックではカチッとさせているところもありますが、メロディの演奏は手でやります。そこが機械任せで作った発車メロディとの大きな違いです。音楽用語では『テンポ・ルバート』というんですが、テンポを変えているんですね。例えば京阪電鉄の曲では、快速急行と特急に復活した車内放送前の音、京都行きの上りがそうです。まさに手弾きの良さがでています」

 人は何かを作る時に、論理的に整合性のある結果を求めたがる。音楽作りでも、完全なリズム、完全な音階を志向する。そのほうが論理的だからだ。しかし、人間の感性はそんなカチッとしたものに対して、無意識に違和感を覚えてしまう。向谷氏の言うルバートによって、耳に優しい発車メロディができあがる。

 しかし、これらの要素をすべて実現させるには発車メロディは短すぎないだろうか。向谷氏が普段作る楽曲とは違った難しさがあると思うのだが。

 「短くても表現できますよ。数秒あれば十分です。音楽はいろんな要素の集合体だから、1小節、2小節でも十分に表現できるんです。1曲の長い短いに、作り方の差異はほとんどないですね」

 では逆に、発車メロディという短い曲作りをする上で面白かったこともあるだろうか。

 「それはもう、僕の考え方を鉄道会社が認めてくれたことが嬉しいし、面白かった(笑)」

●発車メロディとは実用的な音である

 発車メロディの起源は発車ベルである。安全面、ダイヤ維持、扉が閉まる、列車が動く、それらについて、お客様に注意を促す音でなくてはいけない。聞き心地が良すぎても役に立たないのではないか。どちらかというと実用面を重視しており、今までの作曲家が音楽ファンに向けて作ってきた音楽とは違うのではないか。

 「うーん、(注意喚起という意味での実用性重視について)そういう時代は終わっていると思う。例えば、JR東日本には音楽的な要素を重視した発車メロディもありますよね。高田馬場駅は鉄腕アトム、蒲田駅は蒲田行進曲などを流しています。今までの仕事で鉄道会社といろいろお付き合いしてきて、鉄道会社はコンテンツホルダーとしての感覚を持たれてきたと感じます。

 もう鉄道会社は輸送サービスだけでは立ち行かなくなってきて、不動産とか商業施設とか、鉄道以外の収益のほうが多いという会社もいっぱいある。業態が多様化しているんです。そして絶対的な労働人口は頭打ちになって増えない。少子高齢化とかで、今後、鉄道を利用する人は減ってくる。そうすると鉄道事業はお客様に対するサービスとして『鉄道に乗ったらこんなに楽しかったよ、面白かったよ』というエンターテインメント性、鉄道の旅や意匠などのコンテンツを重視したい(と考えるようになる)。その流れに私の発車メロディはピッタリだったのかな、と思います」

●発車メロディの改善が、乗客の安全や運行の遅れ防止につながる

 発車ベルから、耳に優しい発車メロディへ。それはエンターテイメントでありコンテンツである。発車メロディは鉄道会社の意識改革の象徴といえそうだ。もちろん、乗客誘導という実用性も備えている。ただし、実用性の考え方がベルとメロディでは違うという。

 「京阪電鉄では、発車案内放送がすべて自動化されています。出発可能な時刻を逆算して発車メロディを流すのです。(ほかの鉄道会社では)発車ベルは車掌さんが鳴らしますが、京阪電鉄の発車メロディは自動化されているので、車掌さんはなにもしなくてもいい。『このメロディが終わったら自動放送が流れてドアが閉まりますよ』という習慣が(お客も車掌も)できています。車掌さんは音を出す作業をしないぶん、安全確認に集中できます」

 メロディ、案内放送、ドア閉め、発車。このリズムが固定されていると、お客さんにもメリットがある。メロディが鳴り始めた時に、自分がどの位置にいるかで、無意識に乗車可能か否かを判断できるようになるのだ。メロディが流れた時、自分がホームにいたら手近な扉から乗車すればいい。メロディが流れた時、自分がホームへの階段を下りる途中だったら、間に合わないから次の列車にしようと判断できる。その結果、駆け込み乗車などの危険を減らせると向谷氏は言う。

 「せっかく発車メロディを採用しても、2コーラス鳴らす人もいれば、2秒で止めてしまう人もいる。車掌さんの裁量なんですね。だからダイヤによっても鳴る時間が変わる。もし、発車メロディが“必ず何秒流れます”という保証があれば、お客さんも乗るかどうか判断できる。流れ始めた時ならまだ間に合うとか、曲の終わりだったら『もう間に合わないから次の列車にしよう』とか」

●駅や列車、鉄道全体を音楽で演出する

 せっかく発車メロディを採用しても、運用が発車ベルと同じなら効果がない。発車メロディが流れ始めても、それが数秒か1秒か分からない。これではホームに停車中の列車に乗るか無理かが分からない。だからお客さんは、ギャンブルのような駆け込み乗車を試みる。向谷氏は発車メロディについて「鳴り始めてから何秒後に扉が閉まりますよ」という“お約束”が必要だという。

 「発車メロディには、警報や乗降促進という意味もあります。だけど昔のように、早く乗れよ的な発車ベル、発車メロディの時代は終わっていると思う。もちろん混んだ電車に乗ってもらわなくちゃいけない時もあるでしょう。そういうときはリズムで促せると思うんです。京阪電鉄でも忙しい時間帯が多い列車については3拍子を使っている。電車に乗ろうとするときに、4拍子だと落ち着いちゃうんですよ。3拍子で“くるっと回って乗ってね”みたいなね(笑)。そういうリズムを意識して作っています。

 京阪電鉄のように、音楽と自動放送を組み合わせると、お客さんも間が取りやすくなる。駅や列車ごとに違う音楽にすれば、音で列車の種別や駅の識別ができる。そうした実用性とエンターテインメント性を備えて、統一感を出す。演出ですね。駅や列車、鉄道全体を音楽で演出する。それは今までになかった考え方です。でも、鉄道会社が考えなくちゃいけないことだったと思いますよ」

 ただ耳に優しくしただけではない。向谷氏が作った京阪電鉄の発車メロディは、実用面とエンターテイメント性を兼ね備えた“楽しい保安装置”であった。

 インタビュー後編では、発車メロディというビジネスについて語っていただくので、お楽しみに。

<自転車>シクロクロスW杯第6戦フランス大会で荻島美香28位

12月23日19時11分配信 サイクルスタイル・ドットネット

 シクロクロスのワールドカップ第6戦は12月21日、フランスのノメイで開催され、オランダ在住の二児のママ荻島美香(37)が28位でゴールした。
 以下は同選手のレポート。

 ワールドカップ第6戦ノメイは、時折降る雨をしっかりと含んで重い粘土系の泥で芝生が絡むという、やっかいなパワー勝負のコースとなった。

 スタートにはかなり神経をとがらせた。それは、長い250mほどのアスファルトの左折後が、長い階段になっていること、その上滑りやすい下りへと続いていて、鋭い左折をしなければならなかったからだ。

 私は外側を選択し、階段へ入った。自転車が他と絡まないよう注意を払い、列に加わるが、抜く態勢には入れなかった。そのために、自転車を乗れるところを歩かなければならない。そして、ギヤの選択ミスで泥にはまり、順位を落とした。

 スタートでの混乱が収まり、自分のテンポを見つけだしてからは、一人、また一人と抜かして突き進むが、そばにいたフランス人とデッドヒートを強いられた。ここはフランスで、彼女への応援が無性に気になった。離したいが、彼女への声援が私から離れなくて焦った。

 泥の上りで私が足を滑らして止まっている間に追いつかれてしまって冷静を欠き、泥のラインをはずしてミスをし、彼女にゴールを譲ってしまう形となってしまい、28位でゴールした。

 次のターゲットは世界選手権。調子は上がってきているので、最高のパフォーマンスができるよう頑張ります。