1月23日8時33分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
マンション管理大手の日本ハウズイング(東京都新宿区)は、昨年10月に資本・業務提携した福利厚生代行サービス最大手のリロ・ホールディング(同)との協業を今年5月から本格始動する。
日本ハウズがマンション入居者向けに提供中の福利厚生サービスの委託先を5月からリログループに全面的に切り替える。これに伴い、リロと同業のベネフィット・ワン(東京都渋谷区)のグループ会社による現行のサービスを打ち切り、ベネ・ワン側との提携も解消する。
日本ハウズは2007年4月に人材派遣大手パソナ系のベネ・ワングループとプレステージ・インターナショナル(同千代田区)の2社と提携し、1戸につき月額315円でベネ・ワングループが福利厚生を担当し、プレステージは水回りのトラブルなど緊急事態に24時間対応で駆け付ける業界初の入居者向け一括サービスに乗り出した。
◆低料金で順次利用
現時点で合計4000超のメニューを提供しているが、契約実績は日本ハウズが管理する約7000棟・計約33万戸のうち、首都圏を中心に全体の10%程度にとどまっている。
今後は福利厚生業務に精通したリロの豊富なノウハウを生かし、メニューの拡充と全国規模での契約拡大につなげる。
リロは現在、代行先企業の社員に「福利厚生倶楽部」のブランドでショッピングやグルメ、育児、介護、資格取得など日常生活のサービスが最大65%引きで使えるほか、全国各地のレジャー施設割引、慶弔、生活設計支援、トラブル相談など幅広い場面で活用できる計2万以上のメニューを展開している。日本ハウズのマンション入居者も同様に一連のサービスを低料金で順次利用できるようにする。
プレステージの現行サービスについてもリロと重複する部分が多いため、現状のままでいくか切り替えるかを現在検討中。
一方、リロでは4月の新年度入り前の異動・転勤シーズンを前に、日本ハウズのマンション入居者の転勤時の留守宅管理やリフォームなどのサービスに先行して取り組み、補完関係を追求する。
日本ハウズは昨年2月にマンション分譲の原弘産(山口県下関市)から買収提案を受け、TOB(株式公開買い付け)による敵対的買収劇に発展。同6月の日本ハウズの株主総会では原弘産側の提案が否決され、買収劇も決着した。
同10月には原弘産と違って業務に相乗効果を見込みやすいことなどを理由に、リロとの資本・業務提携で合意。リロは日本ハウズの発行済み株式のうち原弘産や一部創業家の持ち分など27.1%を取得し、筆頭株主となった。同11月から両社共同のプロジェクトチームで共同事業の展開を検討してきた。
◆他2社も攻勢強める
マンション管理業界は、分譲会社(デベロッパー)系や日本ハウズなどの独立系が入り乱れて競争を繰り広げている。従来の廊下や階段、エレベーターなどの共用部分の管理以外にも、各戸室の保守や入居者にいかに有益なサービスを提供できるかどうかで契約先の管理組合側から選別される時代に入っている。日本ハウズとともに大手3社の一翼を担うデベロッパー系の大京アステージ(東京都渋谷区)、東急コミュニティー(同世田谷区)の2社も、昨年末から今年初めにかけて相次いでプレステージと入居者向けサービスで提携するなど攻勢を強めている。