2月16日5時6分配信 読売新聞
金沢市が今年1月に実施したごみ処理施設工事の一般競争入札で、大手メーカー3社のうち2社が、「技術力」を理由に門前払いとなっていたことがわかった。
提案した技術方式が却下された形だが、2社は過去の入札で技術的な理由で失格したことはないという。談合防止に役立つとされる一般競争入札が結果的に「1社入札」となり、予定価格の99%の高率で受注していることから、発注の透明性が疑問視されている。
この施設は、老朽化に伴う更新事業として金沢市が発注した「西部クリーンセンター」建設工事。1日340トンのごみを処理する施設で、事業費の約3分の1は国庫補助の対象だ。全国に広く普及しているストーカ炉が採用され、1日100トン以上処理できるストーカ炉の納入実績などを参加条件とし、昨年6月、一般競争入札が公告された。
参加申し込み後、技術審査の対象となったのは、タクマ(兵庫県尼崎市)、JFE環境ソリューションズ(横浜市)、荏原製作所(東京都大田区)の3社。
業界関係者によると、2007年度末現在、条件を満たす施設をタクマは約180件以上、JFE約80件以上、荏原は約50件以上納入した実績があるという。
同市の仕様書は、ごみを燃やしながら移動させる鉄格子が階段状方式のストーカ炉を原則としており、老朽施設を請け負っていたタクマは仕様に沿った方式を提案した。他の2社は、同市がコスト削減などが認められれば独自方式も認めるとしたため、鉄格子を水平に配置した方式を提案。ところが同市は昨年12月下旬、タクマのみ参加資格を認め、2社を失格としてそれぞれに通知した。
同市は、事前公表制度に基づき予定価格(123億円)を公表したうえで、先月末、予定通り入札を実施。タクマは122億5000万円(落札率99・59%)で落札した。
JFEが入札前、同市契約規則に基づいて苦情を申し立てると、同市は「提案技術と仕様書や法令との間に疑問点がある」などと説明。同社は詳細な理由を求めて異例の再苦情申し立てをした。
業界関係者は「2社の方式も、他の自治体で採用されている。いずれの方式も、市が求める水準を満たすはずだ」と、今回の結果に首をひねる。失格したメーカー関係者は「110億円程度で札を入れる予定だった」といい、1社入札でコストアップを招いた恐れもある。