津市長選には、共産党県中部地区副委員長で新人の岡野恵美氏(57)=共産=と、再選を目指す現職の松田直久氏(55)=無所属=が立候補し、31日の投票に向けて激しい選挙戦を展開している。候補者2人の人柄や信条、政治への思いなどを紹介する。(届け出順)
◇「一生懸命で涙もろい」--岡野恵美氏 57 共新
保健師として津医療生活協同組合で勤務していた時、貧困と病気に悩まされる人たちと接する中で、「政治を変えないといけない」と考えるようになった。83年から旧津市で市議を4期16年務めた。00~05年に3回、衆院選に出馬するなど、豊富な経験が評価され、共産党の公認候補として擁立された。
「今の市政は生活に冷たい」と批判する。中学生以下の医療費無料化や高齢者への無料バス券配布などの生活支援策を充実させ、「市民に寄り添う市政に変える」と意気込んでいる。「合併後、地域間格差が生まれ、市職員も人事交流の結果、地域のことが分かる人がいなくなった」とも主張し、当選したら各旧市町村の総合支所に予算と権限を与えるつもりだ。
趣味は特に無いというが、岩手県の旧・沢内村で医療費無料化に取り組んだ村長を描いた映画「いのちの山河--日本の青空2」を見て、気に入ったという。「長所は一生懸命。短所は忘れっぽい。それと、涙もろい。うれしいことや良い話を聞くと泣けてくる」と自己分析する。【岡大介】
◇「人の意見聞く柔軟性」--松田直久氏 55 無現(1)
熊本県からふるさとの津市に戻って友人と中華料理屋で働いていた時、北川正恭前知事と出会って秘書となり、政治の世界に入った。県議を2期7年務め、06年、津市長に就任した。
10市町村合併後、最初の市長。「イベントなどを通して、津市民としての一体感を醸成することができた」と、1期目の4年間を評価する。その一方で「10の市町村には、それぞれの思いや文化がある。合併でそれが切り捨てられたと感じる地域があったのも事実」と、合併後の市政運営の難しさを語った。
自分の特徴を「人の意見を聞く。柔軟性はある」と説明する。新・津市をまとめようと「移動市長室」と称して市内各地に出向いた。住民と直接話し、合併後の市に対する思いなどを聞いてきたという。
学生時代は登山に没頭したが、時間がない今は映画鑑賞が息抜き。邦画が好きで、黒沢明監督の「生きる」と「赤ひげ」は何度も見た。「ハードな仕事だから」と、健康維持のため、市役所では階段で4階の市長室まで上っているという。【大野友嘉子】
〔三重版〕